やべ!!行くぞチープ!!
『さあ、ようやくゲートを出ましたチープインパクト。
先頭とはすでに大きく差が開いてしまっている。
ここから巻き返すことが出来るのか。
先頭は1番、スタコラサッサー。
予想通りハナを切って進みます。
そして、差のない2番手には10番、コシタンタン。
少し離れた3番手には2番、チャンストウライ――』
「うわぁぁぁぁー!!速えぇぇぇー!!」
キリン速い!!高い!!怖い!!
落ちないようになってるらしいけど、そんなんジェットコースターも同じじゃん!!
怖いもんは怖い!!
『そして、後方2番手に2番人気の8番オイマテコラー。
その後ろ、大きく離れた最後方から1番人気の9番チープインパクトの順となっております。
おっと、チープインパクト掛かり気味か?
出遅れを取り戻さんとばかりに猛スピードで前を追っております。
これは最後までもつのかー?
そして先頭はスタンドの大歓声を受けて1コーナー前、最初の障害へと向かいます』
――は?障害って言った?
『最初の障害は
さあ、各ンバ脱落することなくクリア出来るのかー!!』
出来るのかー!!じゃねーよ!!
何?キリンに乗って障害物競争やらなきゃいけないの?
え?競馬ってそういうもんなの?
『さあ、各ンバ順調に最初の障害をクリアーしていきます。
そして、先頭のスタコラサッサーは1コーナーに入っていきます。
オイマテコラーがクリアして、残すはチープインパクトのみ』
竹を合わせて作っている柵がコースを塞ぐように置かれている。
あれを跳ぶのか!?
いや、チープなら障害の訓練を普段からしてるはずだから問題な――今は俺が装備(?)してるから俺が操縦するんだったー!!
やばい!どんどん近づいてくる!!
躓いたら絶対に転倒する!!
落ちなくても、転がったチープの下敷きになったら絶対に死ぬ!!
落ち着け!タイミングを合わせろ!他のンバがクリアしたんだから出来るはずだ!
『さあ、チープインパクトが最後に竹柵障害に向かって――』
いけえー!!
ひょい。
『上手くまたいだー!!
さあ、これで全ンバ最初の高さ1メートルの竹柵障害をクリアしました』
低い!!低すぎる!!
こいつらの脚の長さは2メートル以上あるんだぞ!?
そりゃ、躓いたら危ないかもしれないけども、多分その時は柵の方が壊れるんじゃね?
この勢いでキリンが蹴りつけたらさ?
『先頭はスタコラサッサーのままで2コーナーから向こう正面のストレートへと入っていきます。
最後方のチープインパクトまでは12,3ンバ
そして待ち受ける第2の障害は――遥か天空より舞い降りた黄金の木の実。
人々はそれを求め、渇望しながらも決して届かぬ高みに
しかし――ある時、人々は気付いた。
手が届かないなら、ンバに取らせれば良いじゃないかと。
第2障害は――パン食い競争―!!』
運動会か!!
黄金の木の実とか、禁断の果実とか言ってるけど、ただのパンだろう!!
あー、あれかー。
ロープの張った2本の棒が見えるわー。
『各ンバスピードを落としながら、禁断のパンへと向かっていきます』
じゃあ、それ食べちゃ駄目だよね?禁断て言っちゃってるし。
ツッコミ入れてたら、何かスピードにも慣れてきたな。
考えたら、自分の意思で動かしてるんだから、慣れるとかってのも早そうだし。
『各ンバ懸命に首を伸ばしてパンを取ろうとしますが、神の与えし禁断の果実をなかなか取ることが出来ません。
これぞまさに神の悪戯!!』
いや、全然上手い事言えてないからね。
ただのパンだから。
『ここで、大きく出遅れていたチープインパクトが追い付いてきたー!!
これが大本命の実力なのかー!!
スタンドからは驚きの歓声が上がっています!!』
みんな止まってパン食おうとしてるから、結局追いついちゃってるじゃん。
実力とかじゃないから、観客の皆さんもそんなに興奮しないで。
『まずクリアしたのはスタコラサッサー。
世代屈指の逃げ脚はここでも健在です』
パン取るのが上手いのもそれに含まれるならな。
確かにぶらぶら、ぴょんぴょん動いて取りにくそうだけども――
「ここだー!!」
『おおーっと!ここで外から上がってきたチープインパクトが一気にパンをゲットしたー!!』
フフフ、キリンに慣れてきた今の俺には、自分の手で掴むも同然だからなー!!
『初騎乗のソノダ騎手、見事な騎乗を見せております!!』
「オラァー!!どんな障害でも持ってこいやー!!」
『一気に順位を上げたチープインパクト!
先頭との差は5ンバ身、現在6番手の位置まで順位を上げてきました
そして、次に待ち受ける障害は――借り物競争です!!
紙に書かれたお題を、騎手の方がンバから下りて探してきてもらいます』
競ンバ関係なくね?
せっかく操作に慣れてきたのに、ンバから下りての借り物競争?
『スタコラサッサーのロレックス騎手が最初に紙を持って走っていきます』
「ロレックスおったー!!」
他のンバに乗ってたー!!
あいつ何やってんだ……。
『さあ、各騎手が次々とスタンド方面へ向かって走っていきます』
くそっ!
あんなのに気を取られてる場合じゃない!!
俺は急いでチープから飛び降り、飛び…降り……えいっ!!
て、机の上にある紙を掴んだ。
「さあ!お題は何だ!?」
《駅近《えきちか》マンション徒歩5分 駐車場あり》
「借りれるか!!」
いや、借りれたとしても持ってこれるかー!!
『おっと、ソノダ騎手がお題の書かれた紙を叩きつけているぞー!
どうやら難しいお題だった様子。
しかし、まだまだ他のお題が残っている。
早く用意できるものを引き当てることが出来るのかー』
「え?他のを取っても良いの?」
「いっぱい用意しているので大丈夫ですよ」
近くにいた係員さんがそう教えてくれた。
「昨日、徹夜で作りましたから、まだまだたくさんありますよ」
このふざけたの作ったんはお前かい!!