「ウィンリルさん。私は
「ふーん。そう。それでネフェルは?」
「おられます。元気とは言えませんが無事です。私はネフェルさんがお力を取り戻すまでお体を預かっているんです」
「なんでキミが?」
「それは……。わかりません。気遣いのできる者を探していると仰っていました」
「気遣いができる者?」
「はい。お母様───いえ、ネフェルさんはそういった者を探しておられたそうです」
「なるほどね~」
そういうとウィンリルさんは後ろ頭に手を組んで、何気ないといった素振りで私の周りをぐるりと回り、私の様子を足の先から頭のてっぺんまで品定めするかのように観察されました。
「ネフェルと同じ香りがするのは、身体がネフェルその人だったからなんだね」
へー、そんなこともあるんだ~と言いながらウィンリルさんはさらにもう一周、私の周りを回られました。
「うん。わかったよ。キミを信じる。だってネフェルがキミを選んで自分の身体を預けたんだよね? だったら間違いはないよ。だってネフェルは完璧なんだから」
意外にもウィンリルさんはあっさりと私のことを認め、害をなすものではないと理解くださったようです。
おそらくそれは私の申し開きがよかったとか、ウィンリルさんが素直で人の言うことを聞く人であるとか、そういうことではなく、単にウィンリルさんがお母様───すなわちネフェルさんをそれだけ深く信頼していたからだと思われます。
(よかった……。お母様はウィンリルさんにとても信頼されているんですね)
(まぁな。ヤツとは魔界学園に入学した時からの付き合いだからな。しかしヤツの機嫌を損ねなくてよかった。
お母様も一安心してくださって良かったです。
「それじゃあお邪魔したね。僕も今日の仕事に戻るよ。勇者との戦いの準備をしないといけないからね」
ウィンリルさんはお部屋を出られようとされましたが、私は咄嗟にウィンリルさんを呼び止めました。
「あ。まって下さい、ウィンリルさん。