ネフェルは太陽に透かした手の平のように顔が真っ赤に輝き、目が泳いでグルグルと廻ってしまった。
大慌てで手を離してスレキアイと距離をとろうと思ったが、考えに反して手が言う事をきかず、手を離さなければと思えば思う程、逆に焦ってスレキアイの手を強く握り締めてしまった。
ネフェルはパニック状態に陥り、頭からモウモウと湯気を立ち昇らせた。
目が廻ってその場に倒れそうになったが、その時、保健室のドアが勢いよく開け放たれ、薬が詰まった箱を抱えた女生徒が室内に入ってきた。
「あれ? スレキアイ部長?
そのはずみでネフェルはスレキアイの手を離し、距離をとることができた。
女生徒はその時になってスレキアイの他に、もう一人、女生徒がいることに気付いた。
「あっ……───」
すると女生徒はピタリと足を止め、フィルムを逆回転させるように後ずさって部屋を出て行こうとした。
「まてまてまてまて。勘違いをするな」
スレキアイは慌てて女生徒を制したが「おやめください、スレキアイ部長。私はここに来ていません。何も見ていません。何も聞いていません」と、女生徒は尚も後ずさりをして部屋を出て行こうとした。
そんな女生徒の動きを止めたのはネフェルだった。
「えっ? ユキメお姉さんっ? あれっ? ユキメお姉さんですよねっ?」
そう言われて女生徒はピタリと足を止めた。
「えっ? そういうあなたはネフェルちゃんっ?」
「なんじゃ、二人は知り合いか?」
驚くスレキアイをよそに、女子二人は抱き合って邂逅を喜び合った。