「そう言えば、ユキメお姉さんはどうして保健室に?」
ネフェルはユキメに訊いてみた。
「ああ、それね。私はクラスの保健係で、学園の保健委員なの。保健室の
そう説明されてネフェルはとても納得した。
世話好きで心優しいユキメは保健係にぴったりだと思ったからだ。
「まさか保健室にスレキアイ部長がいて、さらにネフェルちゃんまでいるとは思わなかったけど。
それと昨日はごめんなさいね。ネフェルちゃんが入学するのは知っていたけど、私も新学期の準備で忙しくてなんの手伝いにもいけなくて」
ユキメが申し訳なさそうにするのでネフェルはどうか気にしないでくださいとユキメをなだめた。
「もう荷物は片付いた? この後、もうすぐ入学式だけど、その後、ネフェルちゃんはどうするの?」
ユキメが今後の予定をネフェルに尋ねると、ネフェルは大切な事を思い出したように急に立ち上がった。
「そうでしたっ、ユキメお姉さん! 私は、大変なことになってしまいましたっ!」
ネフェルがいつになく深刻そうなのでユキメは心配になった。
「大変なこと……? え? なに? ネフェルちゃん、どうしたの……?」
「すみません。ユキメお姉さん。まずは父と母に手紙を書かなくてはなりません」
「手紙……? そ、そうね。ご実家のご両親を安心させてあげる為にも手紙は早く書いた方がいいでしょうね」
「はい。でも手紙の内容は “
ネフェルがそういうのをユキメは一瞬、理解できなかった。
「お、お別れの挨拶……? え? どういうこと?」
ネフェルはユキメの隣に腰を下ろすとユキメの両手を包み込むように手にとって、じっと目を見つめて理由を説明した。
「私はスレキアイ様に “
そう言われたがユキメは尚もキョトンとしたままだった。
「奪われた……? え? ネフェルちゃん、何をされたの……?」
ユキメの中で保健室のベットの近くにいるネフェルとスレキアイの姿が思い出された。
ま、まさか、二人はまだ学生なのに白昼堂々、学校の保健室で……?
ユキメの脳内で抱き合うネフェルとスレキアイの姿が鮮明にイメージされた。
妄想が花開き、ユキメの顔は赤くなったり青ざめたり表情が目まぐるしく移ろった。
そんなユキメをよそに、ネフェルは力強く、しっかりとユキメに一言、説明をした。
「私は……私はスレキアイ様に “
「……───ん? 俵担ぎ?」
ユキメは想像していた内容とは全く違う言葉を言われて、理解が追い付かずにオウム返しをしてしまった。
「はい。今でいう “お
***
心優「……───お
まさか、と思いつつ私はお母様にお伺いしてみました。
ネフ「そうじゃ。お米様抱っこじゃ」
心優「魔界ではお米様抱っこをされると「もうその相手に嫁入りするしかない」ということになるのですか?」
ネフ「そうじゃ。お米様抱っこをされた者はその相手に “略奪” されたことになるのじゃ。つまり “所有物” にされたということじゃ」
心優「そんな人権無視な」
ネフ「仕方あるまい。それが魔界じゃ」
心優「仮に魔界がそのように殺伐としているとしてですが、しかしそれでもスレキアイ様は略奪目的でお母様をお米様抱っこされたようには思えませんが……」
ネフ「スレキアイの真意などどうでもよい。重要なのは
私は「それをされるともうその相手に嫁入りするしかない」という行為は、もっとロマンチックで神聖な行為だと期待していたので、少し残念な気持ちになりました。
いえ、お