『 店主急病の為、臨時休業 』
錬金術部の出店の前に、殴り書きの文字で張り紙が出された。
とるものもとりあえずといった様子でユキメはネフェルを小脇に抱え、大急ぎで校舎の裏手に駆け込んだ。
「ど、ど、どどどどど───どういうことネフェルちゃんッ!? なんでッ!? どうしてそんなことになったのッ!?」
両肩をがっしりとつかまれ、ネフェルは頭がもげるかと思えるほどガクガクと揺さぶられた。
「ネフェルちゃんは入学したばかりだから知らないと思うけど、部長の人気は異常なのッ! 廊下で部長とすれ違っただけで妬まれて、翌日、庭園の噴水で水死体となって発見された生徒が大勢いるのよッ!? その後、全員、蘇生術で生き返らされたけどッ!
断りなさいッ! 絶対にッ! 命を粗末にしないでッ! 錬金術部に部員がいなくなるのはファンに妬まれた部員が次々と変死体となって発見されるからなのよッ! その後、全員、蘇生術で生き返らされるけどッ! 部室が散らかってて毒ガスが発生したり爆発事故が度々起こるのなんて些末なものよッ! その程度で錬金術部に在籍できるなら、みんな喜んで爆発に飛び込むわッ! そんなファンばかりなんだからッ!
私も何度、月のない夜道でそうしたファンに襲われたことか……。幸い私は魔界最強の
無理です!できません!とネフェルはブンブンと首を振った。
「それになんでそんなことになったの? めんどくさがりやの部長が夜会に出ること自体、考えられない事なのに……。
どうしてスレキアイ部長がネフェルちゃんをエスコートするなんてことになったの?」
そう問われてネフェルは説明を始めた。
「そ、それが昨日───」
ネフェルは昨日の昼食の時のことをユキメに話した。