「なあ伝助。あの子は、なんで“みこ”だと判断されたんだ?」
「どうやら父親が、あの娘を教団に“みこ”だと売り渡したようですね。それで娘と報奨金を交換する際に、娘が逃げようとして暴れて、教団の追跡官たちが何人も焼け焦げた炭となったようです」
やはり、あの子は『炎』を操る力を持っているのだ。
『鑑定スキル』に書かれていたことは、正しかった。
本当に、あの子が人を燃やしてしまうような特殊能力を持っているのなら、それをこの目で確かめてみたい。
なぜなら、この世界には魔法や超能力といった概念はないからだ。
ゆえに、日本の漫画で流行っていた異世界転生モノのような、炎を生み出す魔法使いは存在しない。
だからこそ、気になる。
日本の戦国時代のような雰囲気ということ以外は、特別な能力を持つ人間がいないこの世界で、唯一無二の力を持った少女。
その力を、直接見てみたい。
そのためにも、“みこ”にもう一度、会いたい!
「伝助、いますぐあの子に会うぞ」
「若! “みこ”にこれ以上関わるのはおやめください!」
「ええい、うるさい。おい、誰かいないか!?」
俺のことを止めようとする伝助を振り払いながら、部屋の外へと飛び出る。
すると、先ほど“みこ”を預けた部下が、いそいそと俺の前に現れた。
「ご城主様、お呼びでしょうか?」
「お前はさっきの! ちょうどいい、あの子をどこにやった?」
「先ほどの“みこ”であれば、こちらでございます」
部下の案内に従って、廊下を進む。
後ろを振り向くと、伝助が諦めたように大きくため息をついていた。
どうやら、あの子に会うための障害はなくなったようだ。
──それに、なんとか正体もバレずに済んだな。
この体の持ち主である皆本守は、変わったことをするのが好きな人物らしい。
他人からは奇行に見られているようだが、そういった行動を取れば、こうやって周囲の目をごまかすことができそうだ。
今回も、処刑するはずだった“みこ”を、殺さずに担いで城に帰るという行動が、いつも通りの奇行に映っていたのだろう。
城主の中身が皆本守ではなく、日本のサラリーマンである
「城主様、こちらの小屋になります」
“みこ”がいる場所は、意外にも城の外だった。
部下に案内され、城から数分歩いたところにある、古びた小屋へとたどり着く。
お尋ね者である“みこ”を隠すには、ある意味もってこいの場所かもしれない。
「案内ご苦労。それで、彼女はどうしてる?」
「ええ、すでに準備は万全でございます。城主様の到着をお待ちしておりました」
部下の言葉に、どこか含みがあるように感じた。
俺との面会の準備ができているということだろうか。
城に戻った際に、あの子を部下に預けたままだったから、どうしているのか気になっていた。
あれから俺のことをずっと待っていたので、あれば悪いことをした。
処刑場からいきなり連れ出されて、さぞかし心狭い思いをしていたはずだ。
待たせるのも悪いし、早めに挨拶をして、安心させてあげたほうがいいだろう。
俺が小屋の前に立つと、部下が扉をゆっくりと開く。
次の瞬間、俺は目を見開いた。
「こ、これは……!」
目の前の光景に、俺の思考が一瞬で停止する。
薄暗い部屋の中で、艶やかな姿が目に飛び込んできたからだ。
豪華な緋色の毛布の上で、少女が月光のような白い肌を淡く輝かせていた。
薄い下着姿となった“みこ”が、手足を縛られたまま派手な毛布の上に投げ出されている。
彼女の手足を拘束するというより、むしろ体を強調するかのような大胆な体勢にさせられていた。
そして背徳的なのは、なにも体勢だけではない。
柔らかそうな
それらの
俺の存在に気が付いたのか、少女が静かに目を覚ます。
彼女は潤んだ瞳で俺を見上げると、紅色に染まった唇が
「誰……?」
その可憐な声に、俺の理性が揺らいだ。
甘い香の薫りが部屋中に漂い、全身を刺激する。
先ほど命を助けたばかりの少女が