零夜たちは一斉にモンスターの群れへ襲い掛かり、次々と蹴散らしていく。彼らは数多の戦いを乗り越えて鍛え上げられた戦士たち。モンスターの群れなど、もはや恐れるに足らず、圧倒的な勢いで敵を薙ぎ払っていた。
「ここから一気に攻めさせてもらう! ブラッド・マスカレード!」
零夜は獄卒・血骨鬼を両手に握り、血のように赤く輝くオーラを全身に纏う。そのオーラは刃の形となり、彼が剣を振り下ろすと、鋭い血の斬撃がロックヒューマンの群れを襲った。岩石の巨体を持つ敵たちは、斬撃の嵐に耐えきれず、次々と砕け散り、素材の岩と金貨の山となって地面に崩れ落ちた。零夜の周囲には、血のオーラが霧のように漂い、戦場に不気味な美しさを添えていた。
「ウチも頑張らないと! シャイン・スラッシャー!」
倫子は天使の指先を軽やかに構え、光の粒子が彼女の手元で輝き始める。彼女が剣を振るうたび、眩い光の斬撃が弧を描き、ガーゴイルの群れを切り裂いた。光に貫かれたガーゴイルたちは断末魔の叫びを上げ、空中で粉々に砕け散る。戦場にはガーゴイルの羽と金貨が舞い落ち、まるで光の雨が降り注ぐような光景が広がった。
「スカルショット!」
日和はワイバーンガバメントを両手で構え、銃口から闇の魔法弾を連射。黒い弾丸は唸りを上げ、襲い掛かるインプの群れを正確に撃ち抜く。闇の弾丸が命中するたび、インプたちは黒煙を上げて崩れ落ち、その数を急速に減らしていった。日和の冷静な射撃は、まるで死神の如く敵を刈り取っていた。
「行くぞ、アイリン!」
「言われなくてもそのつもりよ!」
アイリンとサヤカは息の合った連携を見せ、ゴブリンたちの群れに突っ込む。アイリンの強烈な乱れ引っかきが敵を切り裂き、サヤカの拳がゴブリンを破壊する。二人の攻撃はまるで嵐のようで、ゴブリンたちは逃げ惑う間もなく次々と倒れ、素材と金貨に変わっていった。
勝利を確信したその瞬間、新たな敵の増援が地響きとともに現れる。悪鬼戦闘員、サイクロプス、オーガ、ダークエルフ、コカトリス、ホブゴブリンが、戦場を埋め尽くす勢いで押し寄せてきた。
「倫子さん!」
「任せて! マジカルウェーブ!」
零夜の鋭い合図に、倫子が即座に反応。彼女は天使の指先を高く掲げ、膨大な魔力を集めると、眩い波状光線をコカトリスたちへ放った。光の奔流は戦場を駆け抜け、三十匹のコカトリスを一瞬で飲み込む。彼らは悲鳴を上げる間もなくスピリットと化し、倫子のバングルに吸い込まれていった。光の波が収まった後、戦場には静寂が広がり、倫子のバングルが淡く輝いていた。
「ナイス攻撃! 私も負けられないわ!」
エヴァは獰猛な笑みを浮かべ、素早くサイクロプスに駆け寄る。彼女はその巨体を両手で軽々と持ち上げ、筋肉が膨れ上がるほどの力を込めて振りかぶった。サイクロプスの巨体が宙を舞い、敵の集団に直撃。衝撃波が戦場を揺らし、巻き込まれた敵たちは光の粒となって次々と消滅。金貨と素材が地面に散乱し、エヴァの圧倒的な怪力が戦場を震撼させた。
「エヴァの奴、凄い怪力だな……アタイも負けてられないぜ!」
マツリは三種の神器を手に、目の前のオーガたちに立ち向かう。草薙剣が青白い光を放ち、彼女が一閃するたび、オーガの巨体が真っ二つに斬り裂かれる。光の刃は風を切り、敵を次々と光の粒に変えていった。戦場にはオーガの角と金貨が散らばり、マツリの剣技が戦場の空気を切り裂いていた。
「ダークエルフは私が行くわ! 連続射撃!」
トワは断罪の弓矢を構え、流れるような動きで矢を放つ。矢は闇を纏い、ダークエルフの群れを正確に貫いた。ダークエルフたちは抵抗する暇もなく、次々と矢に射抜かれ、光の粒となって消滅。戦場にはエルフの弓矢と金貨だけが残された。トワの射撃は、まるで夜空に星が瞬くような美しさだった。
「エルフの弓矢……使えます!」
エイリーンは素早く地面に落ちた弓矢を拾い上げ、魔術を展開。天使の羽と闇の粉を融合させ、輝く光と闇の弓矢「イノセントアロー」を完成させた。弓矢は光と闇が交錯する神秘的な輝きを放ち、戦場に新たな力をもたらした。
「トワさん! 新たな武器が完成しましたので、使ってください!」
「サンキュー!」
エイリーンがイノセントアローをトワに投げ渡す。トワはそれを鮮やかにキャッチし、即座に武器を切り替える。彼女の指が弦を引くたび、イノセントアローが光と闇の軌跡を残し、残りのダークエルフを次々と葬り去った。その攻撃はまるで天罰の如く、敵を容赦なく一掃していった。
「私たちも!」
「はい!」
エイリーンとベルはロングアックスを握り、魔力を込めて武器を変化させる。エイリーンのアックスは風を纏うウインドアックスに、ベルのアックスは炎を纏うフレイムアックスへと変貌。ホブゴブリンたちが襲い掛かる中、二人は息を合わせて斬り込み、風と炎の斬撃が敵を次々と切り裂く。ホブゴブリンたちは素材と金貨に変わり、戦場に散らばった。
「サイクロプスは私たちに任せてください! ジャンケン、グー!」
カルアはジャンケンロッドを高く振りかざし、グーの魔術を唱える。すると空から巨大な拳が轟音とともに降り注ぎ、サイクロプスの脳天を直撃。衝撃で地面が揺れ、サイクロプスは仰向けに倒れ、素材と大量の金貨に変化した。戦場に響く轟音は、カルアの魔術の破壊力を物語っていた。
「す、凄い威力……まさかここまでとは……」
カルアはジャンケンロッドを手に、呆然とその威力を見つめる。予想を遥かに超える力に、彼女自身が驚きを隠せない様子だった。
「良い武器を手に入れた様ですね。私も負けられません!」
メイルは負けじとデッキブラシを構え、襲い掛かる悪鬼戦闘員たちに突進。彼女のフルスイングは風を切り、戦闘員たちを次々と吹き飛ばす。彼らは金貨となって地面に散らばり、チャラチャラと音を立てて落ちていった。メイルの豪快な攻撃は、戦場に爽快な風を吹き込んでいた。
「こ、こいつら、手強すぎるぞ……」
「ブレイブエイトを相手にしたら大変な事になる!」
「俺、一抜けた!」
悪鬼戦闘員たちは零夜たちの圧倒的な力に恐怖し、戦意を失って逃げ出し始める。だが、彼らの前に川本が立ちはだかり、ニヤリと笑みを浮かべる。
「さーて、逃げ出すというのなら……こっちだって考えがあるんだよ。行くぞ! カモーン!」
川本がサングラスをかけると、どこからか軽快な音楽が流れ始める。戦闘員たちは突然身体が勝手に動き出し、踊り始めてしまう。逃げることも戦うこともできず、彼らはただ音楽に操られていた。
「身体が勝手に!」
「どうなっているんだ!?」
戦闘員たちは混乱し、驚きの声を上げる。川本は余裕の笑みを浮かべ、説明を始める。
「僕のダンスマジックは敵を巻き込んで踊らせる事が可能。君たちがどう抗っても逃げられないんだよ!」
「そんな……! 俺たちはこの戦いに出たのが間違いだったか……」
戦闘員たちは絶望に顔を歪め、川本のダンスに操られ続ける。揃った動きで踊る彼らの姿は、まるで戦場を舞台に変えたかのような異様な光景だった。
「あの野郎、また始めやがった。いつものお仕置きだな……」
黒田はサングラスをかけ、川本に接近。曲が盛り上がる瞬間、黒田の拳が川本の腹に連続で炸裂。DBWの名物ともいえるこのお仕置きは、プロレスファンを沸かせる定番の展開だ。川本が調子に乗るたびに繰り出されるこの攻撃は、ファンにとってもお馴染みの光景だった。
「何やっているんですか! せっかくのダンスを邪魔しないでくださいよ!」
「この曲を聞くとムカつくんだよ! 今すぐ止めろ!」
「誰が止めるか!」
黒田の指摘に反発した川本は、間合いを取り、勢いよく突進。黒田を突き飛ばそうとするが――
「うおおおおお!!」
「ゔぉい!!」
黒田の咆哮が戦場を切り裂く。川本の動きがピタリと止まり、音楽も停止。戦闘員たちはその大声に耐えきれず、一斉にひっくり返って倒れる。黒田が川本のおでこをつつくと、彼はゆっくりと仰向けに倒れ、気絶。驚くべきことに、戦闘員たちも一斉に金貨へと変化し、戦場に散らばった。黒田の大声が、敵をショック死させたのだ。
「まさか戦闘員たちもやられてしまうとはな……」
「意外な事もあるのだな……」
国鱒社長と栗原は、呆然とした表情でこの光景を見つめる。いつもの茶番が、予想外の結果を生んだことにただ驚くばかりだった。
「取り敢えずは敵を倒したが、油断は禁物だ。すぐにランドコロシアムへ向かうぞ!」
ヤツフサの合図に全員が頷き、ランドコロシアムへと向かう。ここにいる敵は全て倒した。残るはベティとメディ、因縁の二人との決着のみ。零夜たちは心を一つに、決意を胸に戦場を後にした。