洞窟の天井あたりを見上げるシルシュ。なんだか楽しそうに見えるな?
「なんだ? どうしたよ?」
『うむ。面白そうなことになりそうなのでな。近こう寄れ』
近くに寄れと言いつつ、俺の腕に抱きついてくるシルシュだった。柔らかい感触が!
これはマズいと思うが、いやしかしシルシュから抱きついてきたんだから仕方ないよなーどうしようもないよなー、と考えていると、
「――アーク君! 大丈夫かい!?」
おそらく『転移』してきたのだろう。
シルシュが見上げていた天井あたりに、突如としてシャルロットたちが現れた。うん、空中に。
目が合う俺と、シャルロット。
「人が心配していればーーーっ! 美人メイドとイチャイチャかいーーーっ!?」
ドップラー効果(?)を残しながら池に落下するシャルロットたちだった。そう、シルシュの流した血で汚染(?)された池に。
池の深さは俺の腰くらいだったはずだが、完全に沈んでいるな。場所によって深さが違うのだろうか?
落下の勢いでしばらく水没していた皆は――騒がしく顔を出した。
「みぎゃあ!?」
「臭い!」
「うえっ」
「鼻に水が!?」
「あ、足が
何というか、一瞬で阿鼻叫喚になってしまった。おいおいどうするよこれ?
『……おぬしら、我の血を臭いだのなんだのと……』
ちょっと不満げなシルシュだった。お前さんもたいがい面白い女だよな。
◇
足が
と、それまではよかったのだが。
「この女たらし!」
「心配していれば!」
「んっ!」
なぜかシャルロット、メイス、ミラから次々に尻を蹴られてしまった。なんでだよ……?