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第23話 是非も無し


 洞窟の天井あたりを見上げるシルシュ。なんだか楽しそうに見えるな?


「なんだ? どうしたよ?」


『うむ。面白そうなことになりそうなのでな。近こう寄れ』


 近くに寄れと言いつつ、俺の腕に抱きついてくるシルシュだった。柔らかい感触が!


 これはマズいと思うが、いやしかしシルシュから抱きついてきたんだから仕方ないよなーどうしようもないよなー、と考えていると、


「――アーク君! 大丈夫かい!?」


 おそらく『転移』してきたのだろう。

 シルシュが見上げていた天井あたりに、突如としてシャルロットたちが現れた。うん、空中に。


 目が合う俺と、シャルロット。


「人が心配していればーーーっ! 美人メイドとイチャイチャかいーーーっ!?」


 ドップラー効果(?)を残しながら池に落下するシャルロットたちだった。そう、シルシュの流した血で汚染(?)された池に。


 池の深さは俺の腰くらいだったはずだが、完全に沈んでいるな。場所によって深さが違うのだろうか?


 落下の勢いでしばらく水没していた皆は――騒がしく顔を出した。


「みぎゃあ!?」

「臭い!」

「うえっ」

「鼻に水が!?」

「あ、足がりましたわ!」


 何というか、一瞬で阿鼻叫喚になってしまった。おいおいどうするよこれ?


『……おぬしら、我の血を臭いだのなんだのと……』


 ちょっと不満げなシルシュだった。お前さんもたいがい面白い女だよな。





 足がったというエリザベス嬢はラックがお姫様だっこで救出したので。俺は再び池に入りシャルロット、メイス、ミラを助け出した。ドラゴン形態のシルシュが横たわっていた岩の上に避難させる。


 と、それまではよかったのだが。


「この女たらし!」

「心配していれば!」

「んっ!」


 なぜかシャルロット、メイス、ミラから次々に尻を蹴られてしまった。なんでだよ……?



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