一旦休憩を挟み。
再び動き出した馬車を操るのは俺。隣に座るのはシルシュだ。なんか知らないけど当然のように同行しているんだよな。ジメジメした洞窟から出たがっていたのは知っているが、まさか馬車にまで乗ってくるとは……。あまりに堂々としすぎて逆にツッコめなかったというか。
「え~っと、シルシュ。お前さんも付いてくるのか?」
『うむ。我はおぬしに仕える身じゃからの』
「…………、…………。……なんて?」
『世界を
「恩返しに仕えることが一興なのかぁ……」
『
なんとも時代がかった笑いをするシルシュ。
『まぁ仕えるのは面白半分だが、感謝しておるのは本当じゃぞ? ――我に突き立てられた聖剣は、あのままではいずれ我の命を奪っていただろう。つまりおぬしは我の命を救ったことになる』
「……ん~、じゃあ、お礼代わりに魔の森の魔物を駆逐してくれっていうのは?」
『やれやれ、おぬしは可愛いメイドをこき使うつもりか?』
「メイドさんって本来そういうものなんだがなぁ。あと、お前さんは可愛いというより美人だろう?」
『……
なんか知らんけど満足げに笑うシルシュだった。
「あー、そうか。だからメイド服なんて着ているのか」
つまりはシルシュなりの感謝の証というか仕える心というかそういうものの表現なのか。なるほどなるほど。
『いや、おぬしの趣味に合わせただけじゃが?』
「しゅ、趣味じゃねぇし?」
『ほんとかー? ほんとにそんなこと言っていいのかー?』
御者台に座ったまま、ロングスカートの裾をゆっくりと上げていくシルシュ。まずは白いニーハイソックスが露わになり、続いてガーターベルトと太ももが――
「おいマズい! いや嬉しいが! それはマズい!」
『なんじゃ? もうすでに我の裸体を見た仲ではないか』
「そ、それはそうだが……こう、素っ裸とチラリズムではエロさのジャンルが違うというか……」
俺が世界の真理とも言える違いについて解説していると、
「アーク君! 裸を見たってどういうことかな!?」
「まさかドラゴンまで恋愛対象なんですか!?」
「へんたい」
馬車の中に繋がる小窓からシャルロット、メイス、ミラが顔を出そうとする。いやまぁ中から聞こえるのはもう分かっているけどよぉ。堂々と盗み聞きするなって……。