「じゃあ行くよアーク君! ――
シャルロットの支援魔法によって俺の肉体が強化された。
魔導師団との合同訓練をやったときにも他人から
これなら、いけるか?
俺の『力』が増したことに気づいたのだろう。師匠が心底楽しそうに『にやり』と口元を歪めた。
「どれ、実力拝見と行こうか!」
師匠が遠慮なく斬りかかってきたので、先ほどと同じように
おお!
すごい!
師匠の斬撃を受け止めても手が痺れない! これが
「――うしっ!」
手応えを感じた俺はこの戦いで初めて攻め手にまわった。調子に乗って大振りになっていた師匠の剣を捌き、懐に入り、隙だらけの脇腹に向け思い切り剣を振り抜く。
「ぐっふ!?」
俺からの反撃が予想外だったのか、もろに喰らう師匠だった。やっぱこの人自分が強すぎるせいで油断しまくりだよな。
普段はあの物理的な即死攻撃のせいで隙を突くことも難しいのだが、今はシャルロットの
「……ふっは! やるではないかアーク!」
平然とした様子で立ち上がる師匠だった。おいおいマジかよ。
騎士服は防刃仕様だからそう簡単には斬られることはない。とはいえ、剣 = 鉄の棒なので思い切り脇腹を殴られれば肋骨の何本かは折れ、上手く行けば内臓も傷つくものなんだが……無傷っぽいな。
まったくどんな鍛え方をすればあんなバケモノになるのやら。……いや勇者でドラゴンの血を浴びたのだから、後天的な頑丈さの可能性もあるのか? いやいや師匠だしな。それなしでもバケモノの可能性は十分にある。
しかし、俺も巨木の幹をへし折るほどの勢いで衝突しても無傷だったのだから、頑丈さでは師匠のことはとやかく言えないのか。
となると、お互いに頑丈すぎて簡単に決着は付きそうにないな。
と、俺が分析していると。
「――はーはっはっ! 見たかい、これがボクとアーク君の『愛』の力だよ!」
おもしれー女が調子に乗っていた。俺とシャルロットとの間にいつ愛が芽生えたのだろう?
「……愛、だと?」
おん?
なんか師匠からどす黒い雰囲気が。いやもう殺気と呼んでもいいんじゃないか? なんだこれ? なんでいきなり闇落ちしたっぽい空気を垂れ流しているの?
「――面白い! シャルロット嬢の『愛』がどれほどのものか、この私が確かめてやろう!」
なんか悪役っぽいことを言い出したな? 正義の勇者であるはずなのに。
そんな悪役師匠は剣を胸の前で掲げ、切っ先を天に向けた。
そして、その呪文を唱える。
「――
師匠の『力』が、一気に膨れあがった。
げ、マジかよ。
もしかして、今まで
シャルロットの
あーあ、これ、どうするりゃいいんだよ?