第二部☆クラウド
第三章☆アリスとジルベール
「ジルベール」
「姫さま」
「あなたに騎士の称号を与えたのは誰?」
「あなた様のお父上です」
「ならば今ここに、その称号に加えてもうひとつの称号を与えます」
「それはどういうことですか?」
「私だけの騎士ナイトになりなさい」
ジルベールはあたふたしながら、アリスが何を言い出したのかよくよく考えた。
「そのお、つまり、あなただけの伴侶にということですか?」
アリスは、とたんに真っ赤になった。
普段、真顔でいることが多い彼女のこの反応に、ジルベールは大いに感激した。
「姫さま」
手をとって、にっこりと微笑む。
「あなたにだって、人並みに幸せになる資格があります。このジルベール、命にかえてもあなたをお守りいたします」
「私は、王家の政治のことしか学びませんでした。良い妻になれる自信がないの」
「あなたはあなたであれば、それだけでいいんですよ」
「あなたは嫌ではないの?」
「とんでもない!あなた以上に大切な方は現れません!」
そういうことで、アリス王女とジルベールはドラゴン騎士団から抜けて、国境近くの小さな家で暮らすことになった。
「クラウド、いいのか?」
他の団員が聞いたが、クラウドは心から2人を祝福していた。
「アリス。君にぴったりの男がいてよかった」
クラウドはアリスを抱き寄せて、背中をばんばん叩いた。
それからジルベールにも同じようにやった。
2人はとても幸せそうにみんなと別れを告げた。