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第59話 重大な情報







「なら出し惜しみせずこっちも行くとしよう……いくぞっ! 今度はいつ行くか分からんぞっ」



――――〈ライトニングシフト & 雷撃っ!〉



 ピシャアアン! 10分身したと思った刹那、その幾つかから強烈な稲妻が走る。



 待ってました!〈避雷針っ!〉



 ワイヤーから伸びたリーサルクロウを地へ打ち込みアースし、もう一方を頭上へやり、手を放して宙で魔法固定する。まさに避雷針となってルナへは電気が落ちない。



「なる~! やるなあ! その遠隔魔法対策、お前、ホント面白過ぎだわ!」


「相性対策です! よしっ、エマさん、もう一辺! (ジャンブル・ウィ……)」


「なら新ワザ御披露目だっ、行くぞーっ〈雷・神っ!!!〉」





 ピシャアア!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!





 その姿に驚嘆するルナ。超放電に覆われたエマの大プラズマボールを前に狼狽える。




 うゎああああっっ、なんじゃコリャ~ァ!

 こりゃまさにプラズマの化神だぁ~!


 ひいいぃぃぃぃ、デカッ……

 こ、こんなプラズマボール見たことない~! !!


 50M内に近づいたらオシマイだぁ!


 ……うぅ~、なら! 〈ワイヤーホイールッ!〉




 ギュイィィィ―――――――ンン




 雷神へと爆投さたれた超回転ヌンチャクからクロウワイヤーが遠心力でグングン伸びながら光る円盤がエマを襲う。


 ギャイィィィィン……


 ロッド本体を剣で受けるエマ。それから伸びた死の鉤爪とワイヤーは慣性で遥か後方の大地へアース。

 それが導線となり莫大な電気は大地へと流され、電化移動出来なくなるエマ。


『ハッ……』


 更に前面の超放電がはだけるや、既に超々ジェットで突っ込んでいたルナ。


『ドグヴァッッッ』 「ガフッ」

 正拳突きでエマの胴を貫くルナ。血を吐くエマ。


 だが、エマはその腕を残留体内電気でガッチリとホールド、大剣をそのままルナの喉元へ。

 3万倍速ルナは残った片手で首へと手刀、


 それぞれ同時に寸止めして互いに飛び退くと、



 ドッグァァァ―――――――ン



 遅れて発生した衝撃波同士が空間で激突、巨大爆裂して打ち消し合い、その余波で生じた爆風が凪ぐのを待って身を固くするその場の全員。



「――――まずはここまでだ」





 取り敢えず休戦。 ルナは電気火傷、エマは腹の穴をその治癒魔法で自己治癒セルフヒールする。


「お陰で課題が見えたな……アタシは新ワザ、雷神中に高速移動が疎かになる。だからお前の速度でもやられた。まだ全方位放電には全力が要るからな……

 撃たれたのが頭なら即死だ」


 後輩にやられても取り繕わず冷静な分析のエマ。きっとまだ本当は余力があるのだろう、とルナも自重する。


「……後は電気を誘導されてしまうと無効となるのも課題だ。とっさに弱点付いてくるなんて大したもんだ。その上得意な接近戦に持ち込んでアタシの動きに対向出来てた」


「亜光速移動のエマさんにはマッハ百以上のボクでも太刀打ち出来ないのが身に沁みてたんで、武道の関係で超得意な接近戦にする為に相棒との予知連携を鍛えて来ました」


「いい心がけだ。がしかしジャナスは少しでも予知でヘマすると移動出現時にはもう刃かレーザーが急所に入ってる。

 サイのパワーが大きく上回られたら予知し切れず尚更だ。だからこれからはアタシの雷神のように間合いにすら入れないような工夫が要るだろう」


「はい……じゃあ魔法の機雷を周囲に沢山まとって戦ったらどうでしょう?」


「そしてたらサイ瞬間移動で近くに出現出来ないだろうがな。出現場所でオーバーラップすれば合体固着か爆死だそうだ。

 でも自分も接近戦が出来なくなるぞ! ヌンチャクとか振り回したら自爆とか……それにその機雷を遠隔から爆破されたらこっちがヤバイだろ」


 アッサリと弱点を突かれ頭に手。『あそっか、テヘヘ……』と笑って誤魔化すルナ。


「アタシは雷神中でも雷光瞬間移動ライトニングシフトが可能になれば弱点対策かつ攻撃にもなるハズだ。

 同じ意味でお前はそのあきれる程速いヌンチャク回しをやり続けて戦えればゼロ距離剣撃でイキナリ首を取られる事も無い筈。長時間回し続けられるようにしとけよ」


 ……そっか。確かにこの回転の間合は秒間数万回のヌンチャクの嵐。そこへ飛び込めば即死。或いは物質の重なりで結合かオーバーラップ爆発……。

 流石にエマさんは元理系男子、結構戦術家だ。この人が師匠みたいになってくれたのはボクにとって凄く幸運な事だったかもしれない。


「はいっ、長時間回せるようにしときますっ!!」


「よし。んで、レーザーには超倍率活動時に摩擦熱耐性も極度にアップするお前なら一瞬浴びるくらいは全然大丈夫だろ。それでどうだ?」


「オオオゥ?!……エマさん!……やっぱ頭もいいんですね ?!」


「ん~、じゃ、今までどう思ってたんだぁ?………」


 …………


 顔を見合わせ一瞬の間。


「「ア一ハハハハハハハハ……」」

 そして大笑いする二人。

 そんな二人を微笑ましく見守るルカ。



 しかしエマは直ぐその笑みを消して重大な情報を明かし始めた。



「……実は今回助けられた後、そのサイキック副隊長ソフィーから聞いた話なんだが――――近い内に地下総力を挙げた大軍勢の侵攻が始まるらしい……」










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