《スーパー・ラヴァ》
それは全ての魔の者が地下に内在する原初エネルギーである溶岩の精を長期錬成した直径約1000M、人の体積換算で約四百億体分もの集合体。
伝説の勇者による討伐後、磐石の防御を期して作られ、以降、あらゆる者が無力に泣いた。これをどう攻略するか。
―――ファスターの引きずり出し第二作戦が開始される。
流れ込む
それによりマグマ怪物の表面が海水に熱を奪われ徐々に固まる部位が現れたのだ。
巨大怪物は止むなく一時的に水面上へ浮上し始める。
「ふたが外れた! 外へ出てくるぞっ!」
第三層への穴を栓していた魔塊は水中を嫌い、巨大タンカーの警笛と人の絶叫の混じったような地獄からの阿鼻叫喚を思わせる怪声と共に、ゆっくりと、そして遂に第一層まで浮上した。
拝領魔の塊・スーパーラヴァは膨大な魔力を地脈から受け続ける必要がある。それを阻止するために用意されたジャミング装置。
「四天星の皆、頼む!」
四天星の4人全員の合力による超大規模転移魔法により宙に巨穴が現れ、ギラリと鏡面に輝く新調の最新型超高出力タイプが一万台もゾロゾロと取り出されてゆく。
「ソフィー! 指示通りに!」
怪物を囲む様に用意されたそれは、逆円錐の受け皿状に包囲照射して怪物を受ける為、たった一人で配置を操る天才サイキック副隊長ソフィ―。
繊細かつ複雑なサイ操作で右に出る者はいない。その麗しい半眼から両手を胸の前でクロスし瞑目となって全台操作。
まるで音叉のようなクリスタルサウンドが全員の脳内に響き始める。
そしてその手を広げると流麗な女流指揮者の如く一切の歪みも無くファスターの計算通りの完璧な配列と角度に調整。
全門通常の十倍の最高出力にして照射開始。出力はその強度でなければ効果は薄いと〈分析智〉による計算。
魔塊の下端に焦点を当て、下方への逃げ場を許さない。ソフィーは見事制御して手中に収めた。
その間に下層へと徐々に水が
それはまるで超巨大なエッグスライサー。
しかしその復元力で下方で再結合する為、ノーダメージに見えたが、網の目をくぐった所へ待ち構えていた水、風、土魔法の三人が
「この人間程度の大きさなら俺達でも戦える!」
と特大ウォータージェットやスーパー竜巻で吹き飛ばし、バラして冷却。または土で固めて埋める、などして分解させていく。
『ピギャ〻§‖‡グ£X…¶ビ‰§¬∀⁑∋ガ∝⁂…ゴ†∬ŧ‖‡グ£X…¶ビ‰§¬――――――ッ』
怪物は耳を劈くオゾマシイ叫び声と共に慌てて再浮上。だが作戦においてマシン出力は最大かつ全台フル稼働でないと怪物を止められない。
その素子が焼き切れるまで『3時間』が限界であり、替えも無い。
絶対に時間内に消滅させる必要がある。
ソフィーは次の段階のため装置姿勢維持をサイキック部隊20名と交代、円陣で割り振って姿勢制御を維持し囲い続ける。
「――――第二作戦完了。これより第三段階・アブレーションに入る!」
ファスタ―とソフィーによるサイコキネシスによる切り取り
近寄る事も出来ない灼熱怪物を遠隔から約百分の一程にサイキックカッターで切れ目を入れるファスター。
怪物は地底から遠ざかり一時的に弱まっている。そしてジャミングにより魔の供給も許さない事で切断可能となっている。
これもファスターの〈分析智〉による計算。
それでもその一切れの体積は人型魔物4億体分。ファスター達のサイコキネシスの強大さが尋常でない事が分かる。
「スゲー」
「なんてエゲツないサイエキネシス!」
「こんな強力な念動力は見たことが無い……」
目の当たりにする仲間達から唖然とした感嘆が漏れる。そして一切れの巨魁がグググ……と動き出す。
天才ソフィーがその巨魁をサイコキネシスで持ち上げて取り出したのだ。強烈に戻ろうとする力をファスターがサイで阻止。地上へと飛翔し引き上げて行く。
二人は上下から更に高い位置へ念動力で持ち上げ、グングンと加速して引き上げられた塊を遂には宇宙へ放り出す。
地脈から遠く離れる程に弱体、固形化しながら遥か虚空の彼方へと廃棄。
一つを1分ほどで宇宙の塵に還す。
このペースならジャミング装置の限界の半分近い時間でアブレーションを
『凄い! コレならいける!』
だが一時外れたこの封印により地下の魔導師達が下層より多数出現。
その死神的な妖しい出で立ちは、かの衛兵魔人と似ているがランクは遥かに上である。ファスターからのテレパス指令が頭中に響く。
《みんな、いよいよ出番だ! このアブレーション作業と装置を維持する全サイキック部隊を援護せよ! 四天星、BROS、エマ、ルナ達! 頼む!》
《了解!!》
だが苦い顔の四天星達。あの逃げ帰った日に追いかけて来た奴ら……実力は相当だ。複数で魔力を増幅しその一流の
だが今度は負けない!
『バッシュ――――――――ンッ』 と瞬く間に敵・第一波攻撃到来。