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第82話 超絶的な攻防






 フィジカルなんてただ暴れ回ってただけ、悔しいけどこのランク相手じゃ誰も守れない……


《フッ、みんな流石にやるなぁ、助かるゎ。じゃ、そろそろアタシも行くよ!》


 雷檻〈サンダージェイル〉……


 気が付けば既にエマの放つ雷の檻が広く散っていた魔人達全員を大きく囲い、やがて数家屋程度の範囲に狭めていく。実はエマは特殊な魔術の為に力を貯めて秘術を形成していたのだ。


《この特製の檻、コイツの中じゃ魔界異空間へは逃げられんからな。せいぜい楽しみな!》


 異空間へと逃げ込む魔術をも阻止するそれは正に逃げられぬ雷のおり


 すかさず魔導師の何体かが大型雷獣に変化へんげし、急いで雷電気を吸い取り始め、雷撃を食い止め続ける。


 その矢先、BROSメイによるそれ等をすっぽりと覆う巨大球=ドームシールドが現れ、その大きさを縮めていく。

 サンダージェイルと囲い替わった途端、レイメイの必殺技が発動。



〈爆発三昧!!〉



 猛烈な爆発の連続で地獄と化すドーム内。


 バリアを張って耐え続ける魔導師達。ドームの周りには未だサンダージェイルがまとわり、異空間へは逃げられず、 先の電気吸収にいそしむ雷獣化した術者だけはバリアを張れず消し飛んでいった。


 となれば最早そこは放電天国。いつの間にかサンダージェイルを解いたエマがドーム球に立ち、魔剣を巨大化させ力を溜める。



 そして剣先をドーム内へ突き立てたエマ。

 その美貌も今は魔女の如く冷笑。そしてその中へ更に追撃。


〈重雷撃・百連発!!〉


 ビビビビビビビビシャアアァァァァァァァ――――――――ンンンン……


 それをタップリ浴びて気絶するとバリアが次々消えて正に爆発三昧をマトモに味わって、全魔人が塵と化し、更に跡形もなく蒸発してゆく。


《スッゲ~ッ! 流石エマさん! レイメイさん!》


 思わず脳内歓声を上げるルナ。全員安堵と喜びの表情となる。



《――――来るぞっっっ!》



 しかしそこへ激しく鋭いテレパス警告が全員の脳内に刺さった。

 ファスターの予知とテレパスだ。今すぐガードせよ! と急き立てる。



 !!!!!……


 そこへ忽然とアンドロジャナス戦士現る。




『セイカちゃんを奪ったアイツだっ! 瞬間剣撃が来るっっっ!』


 と思うや否や、僅か一瞬でその場を守る全員に瞬間移動する剣撃の猛襲。


《ぐっ……》


 四天星の風、火、水の魔法バリアと胴体が破断。

 血しぶきをあげ、腰下が遥か宙へ吹っ飛んで行く。


 土のブ厚い岩壁ガードさえ大半が砕け散っていた。


 一瞬で凍りつく空気。


 それでもファスターの発したアラ―トと事前対策指針のお陰で一呼吸だけ身構えることが出来、全員が頭部だけは守り、全滅を免れる。


 ルナはルカの予知と連れテレポートで守られ、BROSはその強力な核シールドでバリア。

 エマだけは〈雷神〉により攻撃対象から外れ、飛ばされた三人の腰下を雷光瞬間移動ライトニングシフトで瞬時に収拾し各人へ届ける。


 モノさえあればいずれも魔法師頂点の四天星は治癒も最大級。即、自己修復する。


 その間エマは雷神を繭型まゆがたにして三人を囲って擁護。エマは雷神の大きさをやや小ぶりにする事で雷光瞬間移動ライトニングシフトと併用出来るようになっていた。


―――エマさんサスガいつの間に!


 ……でもやはりジャナスは強い! 今のボク等では勝てない……


《私の予知から離れないで!》


 とルカからのテレパスを受け取るルナ。

 しかし衝撃は続く。


 ジャナス戦士の目からピシュシュンッ、と円錐に放たれたレーザーの二閃。


 円陣の維持隊と装置に直撃し装置維持部隊十五名が焼斬、真っ二つに斜め切り。

 予知に優れた5名のみギリギリ難を逃れた。


 装置はそれを想定してあり、鏡面に加工され反射により破壊を回避。

 だが姿勢制御は狂い始める。


 呆気に取られるルナ達をよそ目にアブレーションから急遽テレポーテーションで戻ったファスター達。


《ソフィー、装置維持を!》


 そしてソフィーをジャナスから守りながらファスターは、


《皆、代われ! こいつはスーパーサイ! 全員殺られる!》


 歯ぎしりするような苦悶の表情のファスター。



《私と代わるしかない! だからみんなっ!……

 ……みんながスーパーラヴァを何とかするんだ!》



「げっ!」

『えええっっ!!』




 皆をかばう様にジャナスの前に立ち塞がるファスター。


「ジャナスの戦士よ、良いのか? こんな所で闘って。お前らは極々稀にしか生まれない、お前を含め10体と王のみ」


「またお前が邪魔するか。だがその様な事をよく知ってるな」


「お前らは地上の特定の放射線に弱い。こんな所で戦っていれば例え私に勝っても数時間後死ぬ。お前が出てくるということは捨て駒か。必死だな」


「一瞬浴びるくらいなら寿命を多少縮める位だ。すぐ片付ければ問題ない。もっともこれは王の命令だ。兄者達の貴重な命をさらすなと。王の命令は絶対である」


《ならここで潰《つい》えよ!》とファスタ―



 出し抜けに瞬間移動とサイ・セイバーで縦に一刀両断。だが即座にサイキック修復して何食わぬ顔のジャナス戦士。



《わが部族は人間と違って意識体の在りかは移動できる。故にどこを斬られようとサイで繋げればいくらでも平気だ。

 ワレは同時に10分割されても復元可能。そして即反撃だ。だからムダ。更に他の9人の戦士達はワレより高位。

 その分割可能数は上位程およそ倍増していき、そのトップは1万分割でも生き残る。ワレなど中では最弱。完全体の王なら散って戻れる。


 死なん!


 両性を持ち、スーパーサイキックを有する完全無欠の神に最も近い種族。

 だから王は最強なのだ!

 何万年と地下を支配した魔王さえ葬り、力の劣らぬその実子を新魔王として5層目の下僕しもべとして従わせた我が種族こそ真なる支配者。諦めろ》




 そう言い放つと同時に瞬間移動と瞬間剣撃で10閃もファスターを斬り捨てて断裁した。


 だがそれだけバラバラにされながらファスタ―も平然と元へ戻る。



《ナニィ! 人族がまさか! 人間の死ぬ意識体のある部位:脳を、そして弱点の首、心臓も切った筈……なぜ戻れる?! いかなる超速魔法治癒でも手遅れな筈!》


《こんな特性お前らだけだと思うのか? 嘗てこれを駆使する者にやられたんだろうが》


《ま……まさか、お前、あの勇者の……!》


《先生《マスター》直伝のサイキック分離・合体はお前らに決して引けをとらぬ!》


 ならばと念力で体を潰そうとするも、ファスターも対向。

 思念攻撃の応酬は互角で、いつ迄も勝負がつかない。


 やがて瞬間移動で互いに隙を伺い合い、予知合戦となる。


《行動も読ませず、予知力も互角とはな。ククッ、だが人族よ、これならお前の負けだ。知ってるぞ、3時間お前を引き付けておけば装置の限界、時間切れになるだけだ》



《それはどうかな》





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