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第86話 決着! ジャナス vs ファスター






 一方スーパーラヴァ上空。


 ジャナスとファスターの強大な念力の衝突域に溶岩塊が入り込むと、ブラックホールに飲み込まれたかのように瞬時にペシャリと体積が二次元化。誰も踏み込めぬ異次元の戦い。


 パワーバランスが僅かにでも傾くと剣撃、レーザー、サイセイバー、ロッド攻撃の応酬。


 そして互いのすきを狙うテレポート対峙が繰り返され、双方の精神力の限界まで迫る。


 ―――― いまだ生じない隙。


 やがてその中でファスターがサイで捉えたルナの限界的状況。




《も、もうムリ……皆ゴメン。でもこんなにやれた……

 この大きさならコイツも第3層への穴を塞げない。

 きっと次の未来へも行ける筈……


 ルカ、本当にアリガト……


 そしてお兄ちゃん、ボクはこのジェンダーになれて……強くなれた。そしてあの思い出のお陰で……》



『ルナ……

  ボクは今出来る事をやり抜いたよ……』



《ボクは今、あなたの様に……

 自分に出来る全てを、やり抜けたんだよ。


 これでやっと胸を張ってあなたの元へ行ける……。

 本当に心から生まれかわって……


 最高の友達と一緒に……


 こんなにも力をくれて、有難う……

 そして……異世界の皆、有り難う》



 持てる力を出し尽くし、動きが緩んでゆく―――




 力尽き、遂に動きが止まろうとするルナ。

 その朦朧とする意識へ響くテレパス。



《聞こえるか、ルナ》



 ……ぇ?! この念声は……ファスターさん……




《キミは本当に良く頑張った。

 だが必ず助けに行くからそれまで少し……。

 あとほんの少しだけ信じて踏ん張ってくれないか》



《ファスターさん……でも……もう力が……》




《こっちの戦いはサイの優劣。精神の力そのもの。

 それがまさった方が勝つ。

 そして絶対に勝って助けに行く!


 何故なら、こんなに頑張れたのは……

 キミのお陰なんだ!

 キミをずっと、見ていたんだ……》



《……こんなボクを? ……ボクの……お陰?》



《ああそうだ! 無駄になんかさせるか! そこまで頑張ったキミを見て、この私が……俺が! こんな奴らに負ける訳がない! …………》



 拳を握り締めるファスタ―。



《守るものの価値が…… 背負ってるものがぁっ! 》




 その眼から怪光がほとばしる。




《……まるで違うんだ―――――っっっ! 》



 すると辺りを埋め尽くす程の残像の驚異の連続瞬間移動。



 その叫びの念と共にジャナスを遥かに凌駕。

 余りの速さに思わずたじろぐジャナス。



 刹那 ――――――


 まるで何かで繋がってる様に呼応するルナ。

 限界を超えて湧き出す力。


《あなたがやるのならぁ――――――っっ、

 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――――――――――っっ》


 それを確認しつつ、ファスターは想像を絶する連続瞬間移動で圧倒。


 平然と勝利宣言をして挑発する。


《どうだジャナスよ! 我が精鋭がお前らの愛しい怪物をジワジワと削っていく姿を見て。フッ、もう五分の一も無いぞ。このままなら俺らの勝ちだな》



 圧倒されたジャナス戦士は遂にしびれを切らして対峙たいじから外れ、


《だがワレの動きまでは阻止し切れまい!》


 と、移送作業に勤しむ無防備な四天星に瞬間移動で不意に切り込む。


『ギャイン……』


 と先回り予知のファスター。

 アッサリとその大剣をロッドで受ける。


《ならレーザーだ!》


 と切り替えるも〈超能力サイキッ反射鏡クミラー〉で跳ね返すファスター。


 自らのレーザーで穴が開くジャナス戦士。苦い顔で慌てて自己修復する。




《ジャナスよ、これでお前の敗けは確定した。精神の勝負から逃げたお前の瞬間移動などもう手に取る様に分かる。とっておきのプレゼントも用意してあるから受け取れ》




〈誘爆機雷! トランスマタ―――ッッ!〉



 取り出した特殊な球塊をジャナスの瞬間移動先へと繰り出す。ギリギリ逃げるジャナス戦士。


 ドゴォォォォォォォ―――ン……




 だが僅かに物質の重なりが生じオーバーラップ爆発発生。



《ナゼ爆発する? 通常は殆ど固着の筈、それに触れてないと物質単体の瞬間移動は……》



《フッ……これは核反応しやすい物質。それに触れてない様に見えるのか?》


 自己修復しながら、《ならやり返してやる!》 と物質を念力で超高速弾丸飛ばしをして来るが、ファスタ―は余裕で念力で止めてしまう。


 歴然と差のついた状態となり、分割可能数を上回らんばかりのサイ・セイバ一〈多重斬り〉で切りつけられたジャナス戦士は恐れをなして更に瞬間移動で逃げ回る。



《見苦しいな。そもそもニワカで誘爆物質など湧出出来まい。それにどんなに速く飛ばしても瞬間移動できる相手には無駄だ》


《ぬ~何故お前は瞬間移動で物体を飛ばせる ?! まさか持ち運んでる?! だがオーバーラップ爆圧より早く逃げるなんて出来ぬ筈……》


 そう、オーバーラップ爆発は単なる核融合では無い。それは宇宙の摂理に反する神の怒り。

 爆圧の伝播速度は数百倍。彼らでさえ逃げる事も覚束ない。

 だからこそ触れる直前からの攻撃が必定なのだ。



 それに対しファスターのこの技は出現位置に先回りして置いて去るだけだったのだ。これなら共倒れしない。


 数段予知力が上回ったからこそ出来る技である。

 逃げるほど墓穴を掘るだけとなるが焦るジャナス。





「喰らえ、〈多重トランスマター〉!」


 先回りで撒かれる誘爆マターに重なって大爆発、


 ウギャアアァ……



 叫び声と共に大きく五つに千切れ飛ぶ。焦りながらその体躯をなんとかイビツに繋ぐジャナス戦士。



《フッ、致命箇所にいつかはヒットする。それまで繰り返すのみ!》


 反撃のつもりでやみくもにサイで物体を射出するジャナス。 だがいくら速かろうと所詮それは空間ジャンプでなく射出に過ぎない。


 もはや余裕のファスター。今度はフワリとその体に物体を通り抜けさせた。


《ナニィ! どういう事だ?!》


《自分で考えろ! ヒントだけやる。俺とお前の分裂可能数……》


《くっ、なら他の人間へやってやる! 》


 ドグァァァ―――ン……


 ファスターのマターを再び喰らって大爆発。



《そんな余裕あるのか? もはや判断力もガタガタだな。それを待っていた!》


 そう宣言すると再び分割可能数を上回らんばかりのサイ・セイバ一〈多重斬り〉でアタック。

 当然動揺したジャナスは更に闇雲やみくもな瞬間移動で逃げるが、それは正に自滅行為。



『喰らえっ! 〈ヒュ一ジトランスマタ――ッ〉 』



 ファスターは数段上回った予知力で瞬間移動先に大マターを繰り出し、


 ナッ!


 完全重複合致。―――――閃光が拡散。

 そして巨大オーバーラップ核爆発発生。


〈アルティメット・ブロック!〉

 それをスーパーサイ・シールドで封鎖。



 ドッゴァァァァァ―――――――ン……



 巨大なシールド空間の中でまばゆい光芒が充満した。



 遂にファスターはジャナス戦士を倒す。

 ――――敵最大の利点を突き、逆利用の勝利。





 直ぐ様ルカの元へと瞬間移動で加勢するファスター。

超能力反射鏡サイキックミラー!〉

 2戦士のレーザーをはね返して反撃。


 死にかかるルカを抱えたファスターは、


《よく守った》


 と即、サイ治癒ヒール



《ファスターさん信じてました! でもここはルカとやらせて。 だって怪物の残りはあなたのアブレーションの方が断然早いしボクの腕もほぼ限界。だからそちらをお願い!》


《そうだな……エマ、ジャミングの姿勢制御を任せられるか?》


《サイ部隊の治癒完了! 今の怪物程度なら元技師のアタシに任せなよ、回復させたモンと協力すればジャミングの制御はアタシらで十分!

 ソフィー! アンタも安心して行ってきな!》



《分かったわ。代わりましょう……ファスター様、今行きます!》








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