「クソ…」
あの人間が眷属として認められたという報告書を手に取りそんな言葉を吐き捨てる。
「また人間風情が…」
そもそも眷属というのは我ら吸血鬼が人間を家畜として使役するのと同義。決して主たる吸血鬼と同等の地位を与えていいわけじゃない。
それなのに現領主はあまつさえ人間の眷属に自らの血を分け与え吸血鬼の力を使えるようにしたうえに【妹】とし、その【妹】がつ照れてきた人間さえも眷属として認めた…
「眷属は我ら吸血鬼にのみ許された権利だ…」
それは元人間ごと気が使っていいものじゃない。
それを認める領主も領主だ。
わざわざあの元人間を最後尾にして教会の人間に捕えさせたのだ。
それなのに…このままではまた同じように人間が眷属として同等の地位が与えられるに決まっている。
なぜ…家畜のはずの人間を我らが保護をしなければならない。
「この証明書さえなんとかできれば…」
そうすればあの領主は不正に人間をかくまっている悪人になり人間もろとも消せるかもしれない。
そんな期待と焦りを抱きつつ私は足を速めるのだった。