「キレイ!凄い!素敵!素敵!」
円璃花は大興奮で喜んでくれた。カイアがとても誇らしげなのが俺も嬉しい。
俺ひとりの家にあるものだった場合には、ピンクの薔薇のパーゴラだなんて、ちょっと恥ずかしいけどな。だが木造りの家の雰囲気には合っている気がする。急に我が家全体が華やかになった。
俺はウッドデッキとパーゴラに網を引っ掛けて登れるようにして、さらにその前にトランポリンを置いた。ウッドデッキから登って降りられる滑り台も置き、キラプシアの為に大きくして貰った木にはブランコをくくりつけた。滑り台はウッドデッキの上に置いても遊べる軽さの物だ。大人用には寝そべることのできるデッキチェアを2つ並べた。
「どうだ?裏口からすぐに出られるし、ちょっとくつろげるスペースになっただろ。」
「ほんとね!座ってみてもいい?」
「ああ。どうぞ。」
円璃花はデッキチェアに寝そべってのんびりと川を眺めた。
「気持ちいい……。癒やされるぅ~。」
そう言ってうっとりと目を細めている。
「せっかく遊び道具を設置したことだしな、アエラキも連れてこよう。」
そう言うとカイアがコックリとうなずいたので、俺とカイアの2人でアエラキを家の中まで迎えに行った。
「アエラキ、新しい遊び道具を設置したんだが、良かったら遊んでみないか?」
ひとりで黙々と積み木で遊んでいたアエラキは、ピューイ!と鳴き声を上げると、積み木を放り出して俺たちについてきた。
カイアはアエラキの手を取って、最初にまずブランコに一緒に乗りたがった。2人でゆらゆらと揺られているところに、キラプシアが木の上から降りてきて、2人の体の上を行ったり来たりする。……かわいいな。
俺は急いで家に取って返すと、2階に駆け上がってデジカメを手にすると、急いで階段を降りて、そんな3人の様子を動画モードとカメラモードで撮影したのだった。
ピンクのつる薔薇のパーゴラの横で、ゆらゆらとブランコに揺られている3人の姿は、まさに夢のように可愛いらしかった。そんな俺の姿を見た円璃花が、
「……譲次……。あなたって本当に可愛らしいものが好きよね……。」
と言ってきたので少し恥ずかしかった。
するとアエラキがカイアを誘って、ブランコから降りて移動すると、今度は一緒に滑り台を交互に滑っていた。トランポリンも登る用の網も、すっかりお気に召したようだ。
「そのブランコって、大人も乗れるの?」
「いや、木の枝に引っ掛けてあるだけだからな、というか全部子どもたち用に出したものばかりだから、大人は耐荷重的に無理だ。」
「なーんだ、残念。乗りたかったのに。」
あいたブランコに円璃花が乗りたがったのだが、全部無理だと告げるとがっかりしていた。まあ、木から降りてるブランコなんて、確かに大人でも乗ってみたいかもな。
「そうだ、円璃花に頼みがあったんだ。」
「頼み?何?」
「今度出す店で、コボルトという、喋る犬のような種族の伝統を伝える商品を出すつもりなんだがな、コボルトにもネイルのような伝統があってな。お前にもデザインに協力して貰えないかと思ってな。」
「──本当!?ネイルの店を出すの!?」
「いや、ネイルの専門というわけじゃないんだが、そういうコーナーをもうける予定なんだ。俺じゃデザインに偏りが出るからな、円璃花のセンスを貸して欲しいんだ。」
「もちろんよ、願ってもないわ!いつかこの世界でもネイルを流行らせたいと思っていたもの!喜んで協力させて貰うわ。」
円璃花はデッキチェアからガバッと起き上がるとそう言った。
「良かった。それでな。ジョスラン侍従長から、お前が家を出るのは駄目だが、人が俺の家を訪ねてくる分にはいいと言われているんだ。だから店に立ってくれる予定のコボルトを、家に招きたいと思っているんだが。」
「私は構わないわよ。」
「分かった。じゃあさっそくコボルトたちに手紙を書くよ。お前も店に立てれば楽しいんだろうが、今回はすまんな。」
「仕方ないわ、政治絡みじゃね。」
円璃花はそう言って肩をすくめた。カイアとアエラキとキラプシアは、目の前で3人で楽しげにトランポリンで遊んでいた。
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