俺はルピラス商会副長のエドモンドさんとともに、エドモンドさんの紹介で、ハンバーグ工房の従業員用食堂の料理長を勤めてくれることになった、リラクルさんと、ハンバーグ工房の食堂で面接をしていた。
リラクルさんはパーマを当てたような茶色みがかった金髪に青い目をした、ルピラス商会が運営する高級店に勤めている料理人だ。
新しい異国の料理を勉強出来るとあって、自ら名乗りを上げてくれたのだった。
「他の料理人にはない、自分だけの強みが欲しいと日頃から思っておりましたが、今ひとつ行き詰まっておりまして……。むしろ料理に変化を加えられる料理人を、とのことでしたので、立候補させていただきました。ぜひ勉強させていただきたく思っております。」
ルピラス商会に勤めているだけあって、敬語もしっかりしていた。
「腕は俺が保証するよ。若いが副料理長を任されている。うちの店は上級貴族に向けた、宮廷料理人にも引けを取らない料理人が自慢の高級店だ。1度に大量の料理を同じ味で作るのはお手の物さ。うちの店では、特に練った調味料の味付けを担当しているんだ。」
「練った調味料?」
「肉にかけられている味付けのことだ。」
つまりスー・シェフかつ、ソーシエってことか?ソースで味が決まると言われるフランス料理店じゃ、全部門トップの花形じゃないか!そんな凄い人を引き抜いちまってだいじょうぶなのか?店がかたむきかねんぞ?
料理長は納得してくれているのかな?
「うちの従業員用の食堂の料理人ですよ?
そんな凄い方をこんな僻地に……。それにリラクルさんが抜けてしまって、あちらの店はだいじょうぶなんですか?」
俺は心配になってそう言った。
「だいじょうぶです。料理長はむしろ、俺の挑戦を喜んで送り出してくれました。料理長の為にもこちらで頑張りたいと思います。」
リラクルさんが笑顔で言う。
「俺もまさか副料理長がと思ったがな。それだけジョージのハンバーグが魅力的だったらしい。自分の練り調味料との相性を模索したいんだそうだ。俺はいいと思う。ここで開発した味付けを、うちの店で出せたらなおのこといいからな。ジョージがそう言ってくれたから、損失はないと判断したわけだ。」
ルピラス商会にはハンバーグを大量におろす予定でいる。ハンバーグだけじゃなく、ソースについてもレシピを公開するつもりでいるから、その研究がしたいということか。確かに仕事しながらじゃ難しいよな。うちは昼ご飯提供以外は味付けの研究をして欲しいと頼んでいるから、理想的ということか。リラクルさんが独自に開発したソースはリラクルさんのものだし、それをルピラス商会の店で出せるのなら、ウィンウィンということか。
「分かりました、こちらとしてはぜひお願いしたいです。厨房を確認いただけますでしょうか?一応、料理人が使いやすいようにしてみたつもりですが、問題があればおっしゃって下さい。中をご案内しますね。」
俺はエドモンドさんとリラクルさんを、食堂の厨房へと案内した。
「こちらが大きな冷蔵庫、食器棚、業務用食器洗浄機、これがコールドテーブルです。
冷凍庫は専用の倉庫になっています。こちらではその日使う分だけなので、冷凍庫はいまのところありません。それと製氷機と、オーブンと魔道コンロですね。」
俺は下が冷蔵庫になっている作業台の下の扉を開き、中が冷蔵庫になっているのを見せた。コールドテーブルというものだ。
「なんと……これは便利ですね!」
リラクルさんはコールドテーブルを開けたり閉めたりして関心している。
「小さいお店の厨房にはよくあるものです。
狭いスペースをじゅうぶんに活かす為のものですね。よく使うものはこちらから取り出すようにして下さい。」
さすがに現代のものだと発電機が必要だからな。サイズの合う魔道具の冷蔵庫を組み合わせただけのものだが。
「とても素晴らしい発想ですね。他の道具も充実していますし、よく考えられています。
どこかで料理人として働かれたことが?」
「まあ、少しだけ。」
居酒屋の厨房だけどな。
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