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第130話 初恋の想い出と2人だけのディナー⑧

 アヒージョは結構重たい料理なので、前々菜としてほんの少しだけ出した。

 ルルクスはこの地方で取れる、塩気のあるトマトのような野菜だ。見た目は鬼灯の袋に似ている。


 グリーンアスパラガス3本を下の硬い部分を切り落として3センチ幅に切り、ルルクス(トマト)1個を8等分、じゃがいも250グラムは芽だけ取り除いて、皮付きのまま一口大に切ったら、濡れたキッチンペーパータオルで包み、更にラップに包んだら、700Wの電子レンジで3分半加熱する。そのままフライパンで炒め煮にしてもいい。


 ニンニク一欠片はみじん切りにし、オリーブオイル150ミリリットル、白ワイン大さじ2、塩少々、お好みで種を取り除いて輪切りにした赤唐辛子を加えて、ニンニクがきつね色になるまで加熱したら、一口サイズに切った、一角ウサギの肉(ベーコン、ウインナー、鶏肉でもいい)、ホタテを加えて煮る。


 火が通ったらグリーンアスパラガスと、ルルクス(トマト)、じゃがいもを加えて、アスパラガスに火が通るまで煮る。

 火からおろして、皿に盛ったら、サワークリームを30グラムとバゲットを添え、最後にみじん切りに刻んだパセリと、粗挽き黒胡椒を振りかけたら、一角兎とホタテとアスパラガスとルルクスとじゃがいものアヒージョ完成だ。


 グリーンアスパラガスのかわりにブロッコリーでもいいし、キノコを入れてもいい。白ワインはなくてもいい。肉を入れないならブイヨンを使う。まあ、なんだっていいのだ。

 ようするにオリーブオイルを使った、スペインの煮込み料理だよな。


「ジョスランはお酒が大好きでしょう?

 だから今日の料理は、すべてお酒にあうものにしてくれたのだそうよ。」

 メイベル王太后も嬉しそうにミモザを口にしながらアヒージョを愉しんでいる。

「は……それはとても楽しみです。」

 ジョスラン侍従長が喉を鳴らす。


「前菜になります。カセウェアリーとキャビアとケルピーの下半身のカルパッチョです。日本酒とともにどうぞ。」

 この日本酒は魚卵にあうように作られたもので、マリアージュを感じさせてくれるお酒になる。ジョスラン侍従長もメイベル王太后も、料理を食べて日本酒を口にした瞬間、美味しい……と呟いていた。


 まな板の上に魚の切り身の大きさに切った昆布を置き、軽く塩を振って5分放置しておいたケルピーの下半身(フグの刺し身)を置いて、もう1枚の昆布で挟み、上からおさえたら、ラップでピッチリ包んで輪ゴムでとめて密着させ、冷蔵庫で8時間寝かせる。

 昆布は汚れが気になるようなら、お酢(または水)で湿らせたキッキンペーパータオルで拭いておく。 


 薄くそぎ切りにスライスしたカセウェアリー(鶏むね肉)を、水と料理酒を3対1で混ぜ合わせたもので茹でておく。火が通ったら水気を切って冷ましたものを、ケルピーの下半身(フグの刺し身)とともに、レモン半分を絞ったもの、白バルサミコ酢大さじ2、レモンオイルコンディショナー大さじ2、塩コショウ少々を混ぜたものとあえておく。


 強火で煮たケルピーの下半身(フグ)の骨とヒレで取った出汁1カップに対し、ペルノ酒大さじ1とレモン果汁小さじ1、粉ゼラチン1袋分を振り入れて溶かしたら、ステンレスのバットなどに注ぎ入れ、冷蔵室で1時間以上冷まし、フォークなどで粗く砕いたら、ケルピーの下半身の出汁ジュレの完成だ。


 出汁ジュレとキャビアを乗せたら、ベビーリーフを添えて、カセウェアリー(鶏肉)とキャビアとケルピーの下半身(フグ)のカルパッチョ完成だ。まあ、ジュレはなくてもいいけど、見た目がなんとなく豪華になるからな。カルパッチョには黒より白バルサミコ酢のほうが、個人的には合うと思っている。


「続いてスープです。オークのテッセとラカンを使った虹色スープになります。ビールとともにお楽しみください。」

 ついにナーラさんに作って貰ったプレート皿の出番だ。

「これは……!!」

「なんて美しいの……!」


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