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第131話 初恋の想い出と2人だけのディナー⑩

「続いて魚料理になります。シーサーペントの松笠焼あおさクリームソースと禁断のパスタ、ほうれん草とキノコのソテーを添えて、です。白ワインとともにどうぞ。」

「「パスタ……?」」

 2人が声を揃えて首を傾げている。今この皿の上にパスタがないから無理もない。


 シーサーペントの切り身、現代の食材で代用するなら、普通に甘鯛だな、それに塩を振る。出てきた水分を拭き、身の方に片栗粉をまぶして、熱したフライパンにサラダ油、ごま油を1対1で加え、身を下にして中火で揚げ焼きにし、最後にウロコに揚げ油をかければ、ウロコがキレイに開いて見える。


 松笠焼き、という料理方法だが、俺は見た目が生理的に苦手で、作るのも食べるのも基本しないんだが、このシーサーペントって魔物は、ウロコが1番美味いからな……。

 ほうれん草とキノコのソテーは、石づきを取ったキノコと、3センチくらいに切ったほうれん草を、バターと塩コショウで炒めて、最後に香りつけで醤油を少々混ぜて完成だ。

 刻んだニンニクを一欠片入れても美味い。


 同時に生あおさクリームソースを作る。生あおさ30グラム(乾燥でもいい)は水で洗ってよく水気を切り、細かく切る。フライパンにバターと刻んだニンニク少々を入れ、バターが溶けてきたら、生あおさ、生クリーム200ミリリットル、牛乳100ミリリットル(豆乳でもいい)、顆粒昆布出汁の素小さじ1、醤油、塩コショウ少々を加え混ぜる。


 沸騰手前で弱火にして、全体が滑らかになるまでよく混ぜたら、皿に盛り付けたシーサーペントの上にかけ、スライスしたレモンと黒胡椒をお好みで乗せ、ソテーしておいたほうれん草とキノコのソテーを添えたら、シーサーペントの松笠焼あおさクリームソースと禁断のパスタ、ほうれん草とキノコのソテーを添えて、の完成だ。


 牛乳をどのくらい入れるかは、どれだけソースをこってりさせたいかによる。かなりこってりがよければ生クリームだけでもいい。牛乳を少し減らして50ミリリットルにしてもいい。今回はあとでパスタを絡めるから、少しソースをのばす為に牛乳を増やした。


「付け合せのほうれん草とキノコのソテーと、あおさクリームソースを少し残してお召し上がりいただけると幸いです。」

 2人が白ワインと共にシーサーペントを愉しんでいる最中に、ロンメルが台車を押して室内に入ってくる。台車の上にはグラグラと煮立った寸胴鍋と、ザルが引っ掛けられた小さな鍋。寸胴鍋は俺の出したカセットコンロの上に乗っている。


 そしておもむろに寸胴鍋の中からパスタをトングで引き上げ、隣の空の鍋の上に乗せられたザルの中にパスタを入れてお湯を切った。

「厨房からここまで時間がかかりますので、どうしても茹でたてを召し上がっていただきたくて。」


 料理は既に毒味済みなので、あとはパスタだけ毒味するのであれば、その場で提供してもいいということになったのだ。

 毒見役がパスタを口にしてうなずいてくれたので、俺は残ったソースの上にパスタをくるりと少量盛り付けた。

「あおさクリームソースとあわせてお召し上がりください。」


「これは……!!」

「禁断の意味がわかりますわね……!」

「もっと食べたいですが、これだけなのですよね……。なんならパスタ単体でいただきたいくらいです。」

 あっという間に食べ終わってしまい、2人が名残惜しそうに皿を見つめている。俺は思わず微笑んだ。


「メインディッシュになります。起立するドラゴンの前脚のタレ漬け焼きカレーライスです。スパークリングワインとともにお召し上がりください。」

 カレーの上にドンッと脚をついたかのように、アビスドラゴンの前脚が立っている。

 これにはお2人とも度肝を抜かれたようだ。


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