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第133話 ハンバーグ工房始動③

 この馬車でハンバーグ工房まで移動して、ハンバーグが出来たら積んで運ぶのだ。

 みんなとても楽しそうだ。新しい職場を楽しみにしていてくれるのが分かるのが、俺もとても嬉しい。頑張らないとな!

 ほろをつけたままなので、外の景色があまり見えないせいで、村人たちは馬車から降りてから、初めて自分たちの職場を目にした。


 現地についてハンバーグ工房の敷地を見たラグナス村長の村人たちは、その広大さに圧倒されたのか、馬車から降りて目の前の光景を見た途端、全員ポカンと口を開けていた。

 ハンバーグ工房には、ランディさん、リンディさん、エイダさん、ワッツさん、社員食堂料理長のリラクルさん、そして警備兵の2人と、馬房担当者が待っていた。


 この人たちは既に従業員用の住居に住んでいるので、家から出てきて出迎えてくれたかっこうだ。ラグナス村長の村人たちは家が近いことと、家族がいるので通勤だが、独身で家の遠い人たちは、ここで暮らして貰うことを前提で雇っているのだ。警備兵は24時間体制なので、夜勤組は今は寝て貰っている。


 必要な物は商会を通じて取り寄せするか、休日に買い出しになるのが不便かも知れないが、移動販売で売るものは、全部食堂でも買えるから、そう不便でもないと思う。

 なによりこの世界の人たちは、基本自給自足に慣れているからな。そんなにしょっちゅう買い出しに行くなんてこと自体しない。


 従業員用の畑のスペースも、ちゃんと敷地内に用意してあるのだ。

 既に住んでいる組は、そこですぐに育つ野菜なんかを育てているらしい。まあ、さすがに植えてすぐに収穫は出来ないから、しばらく暮らす分の食べ物なんかは、食堂に用意しておいたが。


「ナッツさん、馬をお願いいたします。」

「分かりました。」

 新しく雇った馬房担当のナッツさんに、馬車を引き渡す。馬と馬車の手入れを担当してくれる人だ。この人もここで家族と住み込みで暮らしている。ナッツさんは既婚者だ。

 可愛らしい息子さんが2人いる。


「さあ、では、皆さんはまず着替えましょうか。毎回朝に服を着替えて貰います。インダーさんたちは、ランディさんたちと食堂でくつろいでいて下さい。準備があるので。」

「ああ。」

「食堂はこちらです。」

 インダーさんたちが、リラクル社員食堂料理長に案内されて、食堂に消えていく。


 俺はラグナス村長の村人たちを更衣室に案内すると、まずは消毒をして貰い、髪の毛をしまう帽子と、全身を覆う服に着替えて貰った。無菌とまではいかないが、人の口に入るものを作るわけだしな。みんな顔を大きなマスクで覆って、指先までビニール手袋で覆われていて、最早誰が誰だか分からない。


 俺も同じ格好になり、ハンバーグ工房の中へと入った。

「──これはミートミンサーという魔道具です。これを使って肉をひき肉という状態にします。ハンバーグはひき肉を使います。」

 俺はまず、ヴァッシュさんの工房で作って貰ったミートミンサーの使い方を説明する。


「肉はさきほどいらした、解体職人さんと、食肉加工職人さんが準備してくれたものを使います。さきほどまで生きていましたから新鮮ですよ。こちらの肉を7、こちらの肉を3の割合で混ぜた、合いびき肉というものをまずは作って下さい。混ぜ終えたらハンバーグの形にするやり方を教えます。」


 初めて見るひき肉に、みんな興味津々だ。

 マスク越しでもワクワクしているのが分かるかのようだ。ミートミンサーでひき肉を作る担当、ひき肉をグラムをはかって混ぜ合わせる担当に、自然と誰が言うでもなく、わかれて作業をしてくれている。なかなか手際がいいな。初めてとは思えない。


 ひき肉をハンバーグの形にして、トレイに乗せる。トレイにはビニールシートが引いてあって、これは、作業が終わったら、車の足置きマットを洗浄する機械に似た魔道具を使って、シートだけを洗浄するのだ。これで洗い物の手間と人手をかなり減らすことが出来る。これもヴァッシュさんの工房で作っておいて貰ってある。大人数でトレイを洗うところを、一人でやることが可能になるのだ。


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