クリーニング工房に入れた魔道具を、ここにも入れてあるので、1度キレイにしてからまた着て貰う。1度脱いだらその日は同じ服は着ない。もちろん今日は新しい服に着替えて貰うので、明日以降の為だな。交代で制服をクリーニングする担当を決めて貰って、サイズ別に棚におさめるよう指示をする。
着替えに時間がかかるから、その分お昼の時間は少し長めの1時間半だ。それでも海外だと短いんだそうだが、そこは日本人感覚に合わせて貰うことにする。
私服に着替えたラグナス村長の村人たちとともに、食堂へと移動する。
「わあ……!!」
全員が入れる広い食堂には、観葉植物も置いて、明るい雰囲気にしてある。テーブルは6人がけを間を取って並べてある。
リラクル料理長1人で切り盛りするから、料理はカウンターで受け取る方式だ。
値段も一律銅貨3枚。
お金の受け渡しをしなくて済むように、支払いはタッチ方式を採用してある。商人ギルドに加入している一般の料理店では、電子マネーみたいに、チャージしたお金をタッチで支払うシステムや、銀行と連携している店では、デビットカードみたく、後から口座引き落とし出来る魔道具があると、エドモンドさんから教わってあったのだ。
今日はハンバーグの試食日なので日替わりはないが、普段はハンバーグか日替わりかを選んで、カウンターでチャージしたお金で支払いをし、料理を受け取る流れだ。
チャージはお昼休憩の早いランディさんたちや、馬房担当のナッツさんが、昼休み後に手伝ってくれることになっている。
チャージの手伝いを終えたら、また肉を解体したり、馬や馬車の世話に戻るのだ。
特にランディさんたちは、先に戻って肉の解体をすすめてもらわないと、みんなが午後から作業する時に、肉待ちすることになるからな。だから一応チャージの魔道具は4つ入れた。警備兵は昼休みと交代以外で持ち場を離れることはないので、手伝わない予定だ。
今日は支払いはないが、やり方を説明する為に、少しお金を持ってきて貰っている。俺も手伝って、チャージ用のカードタイプの首から下げる魔道具をみんなに配り、チャージを試して貰う。みんな自給自足が主だから、あまり外の店では食べたことがないらしく、支払い方法が物珍しいようだった。
「──さて、皆さんハンバーグは行き渡りましたか?それではいただきましょう。」
全員が、食事の前の神様への祈りを開始する。いただきますの代わりに、こちらの世界ではみなそうするらしい。祈りを終えて、みんなが思い思いにハンバーグを口にした。食べる前からヨダレを飲み込む音がする。
「!!」
「!?」
「うまい!!」
全員の驚いた顔に、リラクル社員食堂料理長が思わず笑顔になる。今日は、俺の用意した、醤油と焼肉のタレ、そこにたまねぎと砂糖、塩コショウを使った和風ソースだ。
「これがミノタウロスのハンバーグ……。」
「オークもだろ?」
「これが捨てる部分のクズ肉だって?
お貴族様は贅沢だな。」
「いや、ステーキ部分以外の肉のうまさを知らないのさ。俺たちが食べる部分を、馬鹿にして食べないそうだからな貴族ってのは。」
「こんな凄いものを作っていたのか、俺たちは!これが庶民の食べ物だってんだから!」
「これは売れる!絶対に売れるぞ!」
「買って帰って早くみんなにも食べさせてやりたいわ。きっと喜んでくれるもの。」
みんな嬉しそうにワイワイ食べている。
肉を加工したランディさんたちも嬉しそうだ。それはもちろんそうだ。解体職人と食肉加工職人さんの腕で、素材の味が変わるんだからな。ひと通りみんながハンバーグを食べ終えたところで、俺はラグナス村長の村人たちに、ランディさんたちを紹介することにした。ラグナス村長の村人たちは、全員が顔見知りだが、ランディさんたちは違うからな。
「──皆さん、注目して下さい。
今日から皆さんと一緒に働かれる、解体職人のランディさんとワッツさん、食肉加工職人のリンディさんとエイダさんです。
皆さんの作るハンバーグは、こちらの方たちが肉を用意して下さいます。
それとこちらは馬房担当のナッツさん。
そして美味しいハンバーグを作って下さった、社員食堂料理長のリラクルさんです。」
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