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第134話 ハンバーグ工房の社員食堂③

 みんなが、ワーッと拍手をしてくれる。

「他に外で働く警備兵の方たちもいらっしゃいますが、持ち場を離れられないので、そこはおいおいということで。

 そして、この地域の移動販売を担当する、移動販売長のインダーさん、それと、販売長補佐のアスターさん……はご存知ですね。」


 アスターさんよろしく!と誰かが冗談めかして声を上げると、知ってるだろ!とアスターさんが声を上げて、みんながワハハ、ワハハと笑った。マジオさん、ザキさんは、しばらく遠くの地域の移動販売を手伝ってくれることになっていると説明をした。

「他の地域が落ち着いたら、お2人もまた戻って来てこちらで働いてくれますので。」


「寂しくなるよなあ。」

 アスターさんが眉を下げる。

「お2人が出張する前に、懇親会をかねて、皆さんでピクニックを、と思っています。低い山に登って、途中の開けたところでお弁当を食べます。ナッツさんのところにも、小さなお子さんがいらっしゃいますので、ぜひ仲良くしていただけたらと思います。」


「お子さんはおいくつなんですか?」

 エミリーさんがナッツさんにたずねる。

「5歳と3歳の男の子です。」

 ナッツさんが答える。

「まあ!そうなんですね。うちのアーリーは4歳になるんです。仲良くしてくれたら嬉しいわ。年齢の近い子どもがいなくて……。」


「嬉しいです。引っ越して来たばかりで、うちの子たちもまだ友だちがいなくて……。」

 ナッツさんは嬉しそうに言った。

「大人の方がどなたか見てくれているのであれば、職場に連れて来ていただいても構いませんよ。オリバーさん、エミリーさん。」


「本当ですか?それなら、親父たちに頼んでみようかな……。」

「いいわね!アーリーもお友だちと遊べて嬉しいでしょうし!」

 思案するオリバーさんに、エミリーさんも嬉しそうに同意する。そのうち子持ちの人が増えたら、保育所を作るべきだろうか?


 うちの子たちも連れてきて一緒に遊べたらいいんだが、そうすると円璃花が家で一人ぼっちになっちまうからな……。

「遠くに行くなんて大変ですね。」

「まあ、俺たちは独り身だし、年寄りの世話をしてくれる家族がいるのは、俺とマジオだけだからね。アスターとインダーは、家族の世話があるから、離れられないからさ。」


 リンディさんとザキさんが、早速親しくなったのか、何やら話し込んでいる。ザキさんはアスターさんたち冒険者組の中でも1番年齢が若いから、話しかけやすいんだろうな。

 それを何やら、面白くなさそうに見ているエイダさん。リンディさんの方をチラチラ見たり、ザキさんを睨んだりしている。

 ──ん?


「若いのに職人なんて凄いですね!

 お肉、とっても美味しかったです。

 これからよろしくお願いいたします。」

「あ、あ、ありがとう。でも、作ってくれたのは君たちだから……。ハンバーグ、上手に出来てたよ。とっても美味しかった。

 これからも頑張るよ。」


 妹のリンディさんと同年代の、ティファさんに笑顔で話しかけられて、女性慣れしていないのか、シドロモドロになりながら、真っ赤になって答えるランディさん。ティファさんは可愛らしいからな。同年代の男の子からしたら、緊張してしまうんだろうな。

 うんうん、青春って感じだなあ。


 ランディさんも可愛らしい顔をした男の子だし、何やらお似合いという雰囲気だ。

 ひょっとしたらひょっとするのか?

  それを何やら、面白くなさそうに見ているラズロさん。ティファさんの方をチラチラ見たり、ランディさんを睨んだりしている。

 ──ん?


 ラズロさんはまあ、父親として、娘に近寄る男を気にしているのと、近付かれるのが面白くないってところだろうが、エイダさんはなんだ?親子って程の年の差じゃあないが、結構あの2人の年は離れている。ラズロさんみたいな反応をしているところを見ると、リンディさんを娘みたく思っているのかな。


 初対面はまったくそんな感じじゃあなかったのに、人間わからんもんだなあ。

 などと思っていると、ワッツさんが、そんなエイダさんを心配そうに見つめている。

 えーと……。エイダさんは、そういう意味でリンディさんを見てたのか?嘘だろう?

 ……倍くらい年齢が違うんだぞ?


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