「エレインが見つかったよ!」
エレインさんのパン屋に戻ると、ポッチュはコロポックルたちに詳細を説明した。
「だから、それでうまくいくかは分からないけど、アウドムラの子どもを探して、親のところへ連れて行きたいんだ。
みんな!オイラたちに協力してくれよ!」
「アウドムラの子どもを探すのは構わんが、大人たちだけで行こう。あの森には魔物がいる。……わしらじゃそいつに勝てん。」
おじいちゃんコロポックルがそう言った。
「森にいる魔物とは、アウドムラのことではないんですか?」
てっきりそうだと思ったんだが。
「あれは本来おとなしい魔物だ。
わしらもよく乳を分けて貰ったものだ。
わしらが恐れておるのはハーピィだよ。最近あの森にやって来て、巣を作っちまったのさ。ハーピィは雑食でなんでも食べる。それこそ、わしらみたいな妖精ですらもな。」
妖精は神に属する聖なる存在だろう?精霊の眷属の筈だ。随分と罰当たりな魔物だな。
「ハーピィだって?討伐依頼は出ていないのかな。今後やってくるDランク以下の冒険者2人じゃ、倒せる相手じゃないぞ。もしもそいつらがこの地域の担当になったら……。」
インダーさんが心配そうに言う。
「ハーピィはランクいくつなんですか?」
「群れの数にもよるが基本はCランクだ。
Dランク以下が2人じゃ厳しい相手さ。
なんせ素早くて強いからな。それが四方八方から襲ってきやがるのさ。攻撃を防いでくれる前衛がいないと、特に魔法使いや弓使いなんかの遠距離職だけだと厳しい相手だ。」
とアスターさんが言う。
「討伐依頼がなければ、冒険者ギルドに報告して倒してしまおう。狩りの最中に遭遇したなら緊急性があるから不問だが、一度こうして戻ってきているからな。まだ冒険者であるアスターやジョージが攻撃すると、邪魔をしたことになって問題になるからな。」
とインダーさんが腕組みしながら言う。
クエスト受注済みの魔物を他の冒険者が討伐してしまった場合、緊急事態以外は、横取りとしてペナルティが発生してしまうのだ。
以前そうしたトラブルが頻発した為、冒険者が魔物を狩る場合のルールが明確に決められているのだと、冒険者ギルドで説明を受けた。それほど横取りが多かったらしい。
「俺がミーティアで連絡しますよ。」
「いいのか?別にリーティアでもすぐに返事は来るぞ?俺も持っているし。」
「エレインさんは衰弱している可能性があります。急いだほうがよいかと。」
「そうか……。何も口にできていないだろうからな。そうして貰えるか?」
「わかりました。」
エレインさんの体調を心配した言葉を言うと、俺以上に心配そうな顔をしたアスターさんがそう言った。俺が速達郵便の代わりの魔法の手紙、ミーティアを飛ばすと、程なくして別のミーティアが鳥の姿で飛んで来た。
「……冒険者ギルドからです。クエストは出ていないので問題はないとのことです。」
手紙を読んでみんなに伝える。
「ここいらじゃ、討伐依頼なんて村じゃ出せないからな。……だが、役場が偵察クエストを冒険者ギルドに頼んで、そこから討伐依頼を出すんじゃとても間に合わん。」
「冒険者ギルドもそう考えているようです。
役場にはあとで報告をしておくので、我々で偵察及び、村人に危険が及ぶのであれば討伐を、とのことでした。」
「よし、なら、まずはアウドムラの子どもをコロポックルたちに探して貰って、俺たちはハーピィの巣に向かおう。」
「村人たちにも探して貰ったほうがいいんじゃないか?コロポックルたちが、ハーピィの巣の場所が分かっているなら、それ以外の場所を探すぶんには安全だろう?」
インダーさんにアスターさんが言った。
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