職場や知り合いの周りにもいたなあ、こういう男性。勝手に、いらないと言ってもプレゼントを無理やり押し付けて、恋人がいると分かったら、それを返せと言ってみたり。
店で使う箱ティッシュとかを差し入れて、振られたら金を払えと言ってみたり。ケチなのと、断っても照れてるだけって言い張るのが共通してるのは、何故なんだろうな。
「……ようするに、エレインさんが魅力的だったから、他の人からもあなたは同じ対応をされているのに、違うと感じただけのことですよね?それにエレインさんは他の人にも同じことをしているのに、自分にだけだと思い込んだ。贈り物も、他の人たちからも貰っているもの以外は断っている。2人ででかけたことすらないんですよね。それでどうして、あなたのことが好きだと思うんですか。」
その場にいる全員の視線が、一斉に冒険者の男性に集中する。
「う、うるさい!うるさい!
俺が勘違いをしたというのなら、勘違いさせたあいつが悪いんだろうが!」
最後は人のせいにするところも共通してるんだよなあ。そして最後まで謝らない。変にナルシストな人間は面倒くさいな。
「エレインずっと断ってた~!」
「こいつエレインの話聞かないやつー!」
コロポックルたちが口々に言う。
「ずいぶんと自分の都合のいい耳してんだなお前は。それで?エレインを探されると困る理由について、まだ教えて貰っていなかったな。お前、……エレインになにをした。」
「店の中だと、他のお客様がいるのでって言うから、わざわざ森について行って、2人きりで話してやろうと思ったんだ!そしたらあいつがいきなり逃げ出して、斜面が崩れて、そのまま下に滑り落ちたんだ!」
「──放っておいたのか!?そのまま!
あそこは自力で上がれないんだぞ!!?」
アスターさんが冒険者の男の胸ぐらを掴んで、顔の間近まで引っ張り上げた。ザキさんとマジオさんが、アスターさんを男から引き剥がそうとして、止めきれずに振り回されている。他の冒険者たちも加わって、ようやくアスターさんを男から引き剥がした。さすがBランク近接職冒険者、凄い力だな。
「俺に恥をかかせるからだ!俺に惚れてるくせに、素直にならないにも程がある!
少し1人で反省すればいいんだ!」
「誰もてめえなんか好きじゃねえよ!
エレインに限らず、世界中の女が、てめええに言い寄られたら逃げ出すんだよ!」
それは言い過ぎだとも思ったが、いさめるのも空気がおかしくなるのでやめておいた。
「おい、こいつを役人に突き出すぞ。斜面から落ちた人間をわざと2日も放置したんだ。
こいつは人殺しだ。ハーピィがいることも知ってた癖しやがって。エレインが生きてたのはな!ただの偶然だよ!クソ野郎!!」
アスターさんが押さえつけられながら叫んだ。他の冒険者たちが男を取り押さえ、男を木に縄で縛り付けてミーティアを飛ばした。
「暗くなる前に、急いでアウドムラの子どもを探しましょう。他の村人たちにも声をかけてくるわ。あなたたちは先に森へ急いで。」
「お願いします。」
村人の女性は、村の畑へと走って行った。
ザキさんとマジオさんが、男の見張り兼、移動販売の馬車の為に残ることになった。
他の冒険者たちも手伝ってくれるらしい。
「ポッチュ、ハーピィの巣へ案内してくれねえか?アウドムラの子どもが見つかっても、エレインが、それにみんなが、安全に村に戻れねえかも知れないからな。」
「わかったよ!行こう!アスター!
エレインを助けて!」
それを見たおじいちゃんコロポックルが、ほう、ポッチュがエレイン以外の人間の名前を呼んだか……、と呟いたのだった。
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