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第136話 エレインさんが斜面から落ちた原因④

 職場や知り合いの周りにもいたなあ、こういう男性。勝手に、いらないと言ってもプレゼントを無理やり押し付けて、恋人がいると分かったら、それを返せと言ってみたり。

 店で使う箱ティッシュとかを差し入れて、振られたら金を払えと言ってみたり。ケチなのと、断っても照れてるだけって言い張るのが共通してるのは、何故なんだろうな。


「……ようするに、エレインさんが魅力的だったから、他の人からもあなたは同じ対応をされているのに、違うと感じただけのことですよね?それにエレインさんは他の人にも同じことをしているのに、自分にだけだと思い込んだ。贈り物も、他の人たちからも貰っているもの以外は断っている。2人ででかけたことすらないんですよね。それでどうして、あなたのことが好きだと思うんですか。」


 その場にいる全員の視線が、一斉に冒険者の男性に集中する。

「う、うるさい!うるさい!

 俺が勘違いをしたというのなら、勘違いさせたあいつが悪いんだろうが!」

 最後は人のせいにするところも共通してるんだよなあ。そして最後まで謝らない。変にナルシストな人間は面倒くさいな。


「エレインずっと断ってた~!」

「こいつエレインの話聞かないやつー!」

 コロポックルたちが口々に言う。

「ずいぶんと自分の都合のいい耳してんだなお前は。それで?エレインを探されると困る理由について、まだ教えて貰っていなかったな。お前、……エレインになにをした。」


「店の中だと、他のお客様がいるのでって言うから、わざわざ森について行って、2人きりで話してやろうと思ったんだ!そしたらあいつがいきなり逃げ出して、斜面が崩れて、そのまま下に滑り落ちたんだ!」

「──放っておいたのか!?そのまま!

 あそこは自力で上がれないんだぞ!!?」


 アスターさんが冒険者の男の胸ぐらを掴んで、顔の間近まで引っ張り上げた。ザキさんとマジオさんが、アスターさんを男から引き剥がそうとして、止めきれずに振り回されている。他の冒険者たちも加わって、ようやくアスターさんを男から引き剥がした。さすがBランク近接職冒険者、凄い力だな。


「俺に恥をかかせるからだ!俺に惚れてるくせに、素直にならないにも程がある!

 少し1人で反省すればいいんだ!」

「誰もてめえなんか好きじゃねえよ!

 エレインに限らず、世界中の女が、てめええに言い寄られたら逃げ出すんだよ!」

 それは言い過ぎだとも思ったが、いさめるのも空気がおかしくなるのでやめておいた。


「おい、こいつを役人に突き出すぞ。斜面から落ちた人間をわざと2日も放置したんだ。

 こいつは人殺しだ。ハーピィがいることも知ってた癖しやがって。エレインが生きてたのはな!ただの偶然だよ!クソ野郎!!」

 アスターさんが押さえつけられながら叫んだ。他の冒険者たちが男を取り押さえ、男を木に縄で縛り付けてミーティアを飛ばした。


「暗くなる前に、急いでアウドムラの子どもを探しましょう。他の村人たちにも声をかけてくるわ。あなたたちは先に森へ急いで。」

「お願いします。」

 村人の女性は、村の畑へと走って行った。

 ザキさんとマジオさんが、男の見張り兼、移動販売の馬車の為に残ることになった。

 他の冒険者たちも手伝ってくれるらしい。


「ポッチュ、ハーピィの巣へ案内してくれねえか?アウドムラの子どもが見つかっても、エレインが、それにみんなが、安全に村に戻れねえかも知れないからな。」

「わかったよ!行こう!アスター!

 エレインを助けて!」

 それを見たおじいちゃんコロポックルが、ほう、ポッチュがエレイン以外の人間の名前を呼んだか……、と呟いたのだった。


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