「……あそこだよ。あの木の上さ。
ハーピィの巣があるのは。」
アスターさんの肩の上に乗ったポッチュが少し離れた木の上を指さした。
「見た感じ、いませんね?」
「そうだな。餌を探しに行ってるのかな?」
「ちょっと登ってみるぜ。」
アスターさんがそう言って、ポッチュを俺に預けて木の上に登ると、すぐに木から降りてきて、俺たちのところに戻って来た。
「駄目だな、いない。いくつか巣があったんだが、卵がなかったから、守ってる奴もいないんだろう。餌を探してるのかも知れん。」
と首を振った。
「探してみましょうか。隠れる場所も多いですし、そのぶん小動物もいるようです。
割りと近くにいるかも知れません。」
そう言って俺たちが近くを探していた時だった。向こうからコロポックルの女性がこちらに向かって慌てて飛んでくるではないか。
ちなみに飛ぶと言っても羽はない。空中に浮かんで入るのだ。あれ、どうやって飛んでいるのかな。アエラキみたく風魔法かな?
「大変よ!アウドムラの子どもが見つかったんだけど、ハーピィに取り囲まれてるわ!」
「なんだって!?」
アスターさんが大きな声をあげる。
「急ごう!」
「案内して下さい。」
俺たちはコロポックルの女性の案内で、アウドムラの子どもがいるという場所へと向かった。そこはすり鉢状にくぼんだところで、その1番下に、アウドムラの子どもが地面にしゃがみこんで、怯えた声で鳴いていた。
「隠れていたところを見つかって、追いかけられて逃げてそのまま、あの窪みに落っこちちゃったのよ。登れないみたいだわ。」
「どんどん集まってくるよ……。」
コロポックルの女性とポッチュが、離れたところから、木々の間から覗き込むようにして、女性がその時の様子を説明してくれる。
「雛は既に卵からかえっていたんだな。小さなハーピィがたくさんいる。成体が12体だから、幼体はその3倍以上いると見ていいだろう。ちょいと厄介だな……。」
「すぐに討伐したほうがいいな。冒険者ギルドに報告して、他の冒険者を待っている暇はないぞ。村人たちもこのままじゃ危険だ。」
インダーさんとアスターさんがそう話す。
ハーピィたちは、すり鉢状の穴の底の様子を伺うように、木の枝の上にとまって見下ろしたり、空中を旋回したりしていた。
ハーピィは鳥の姿で、顔だけが人間のそれになっていて、黒目の前後が四白眼と呼ばれる、上下ともに三白眼の人のような顔で、瞬きをしないのがだいぶ気味が悪い見た目だ。
「俺が魔法で攻撃するには、周囲の木々が邪魔過ぎるな……。森が火事になっちまう。」
「俺とジョージでいこう。ジョージは支援をしてくれ。インダーはジョージを護衛だ。」
「わかりました。」
「了解だ。」
俺はマジックバッグからオリハルコン製の盾と、オリハルコン銃を取り出した。ヴァッシュさんに作って貰った特注品で、盾が自立出来るようになっており、穴から銃を出して狙えるのだが、後ろから来られるとまずい。
守って貰えるのはありがたいな。
「行くぞ!うおおおおおお!!!!!」
アスターさんが、ハーピィたちを自分に引き付けるように大きな声を出しながら、武器を抜いてすり鉢状の穴めがけて突進して行った。アスターさんめがけて飛んでくるハーピィたちを、俺が次々と撃ち落としていく。
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