アスターさんに一斉にハーピィたちが襲いかかり、アスターさんがそれを大剣で蹴散らして行く。穴にたどり着くのを優先して、ハーピィが一撃で死ななくても、深追いはせずに走り抜けてゆく。
「──おっと。ファイヤーボール!!」
「ピギィッ!!」
「すみません。──いけました。」
「なんの。」
俺を狙って飛んできたハーピィを、インダーさんがファイヤーボールで燃やす。森の木々に配慮して火力をおさえているから、怯ませるくらいしか出来ないが、怯んだところを俺がオリハルコン銃で撃ち落とした。
「助けに来たぞ!」
アスターさんはそう叫ぶと、すり鉢状の穴へと飛び込んで、地面にドシンと着地をし、ハーピィたちへ向けて大剣を構えた。
「さあ、どっからでもかかってきやがれ!」
アスターさんがハーピィを睨んだ。
アスターさんの後ろで、急に飛び込んで来たアスターさんにも怯えたアウドムラの子どもが、立ち上がって逃げようとしたが、どうやら足を怪我していたらしく、そのまま、また地面へと、座るようにへたりこんでしまった。登れないのは怪我もあったんだな。
俺やインダーさんからは、すり鉢状の穴の底は半分くらいしか見えない。つまりアウドムラの子どもの前に立つアスターさんの姿がよく見えない。穴の入口にいるハーピィを撃ち落としていたが、ハーピィたちは俺たちよりも、アスターさんとアウドムラの子どものほうが与し易いと思ったのか、「ピギィイイイ!!」と鳴いて一斉に穴に襲いかかった。
それは本当に一瞬のことだった。瞬間初速の速度だけなら、ワイバーンよりも早いかも知れない。穴の入口が、一瞬ハーピィに覆われて見えなくなるくらい、大小たくさんのハーピィたちが、アスターさんとアウドムラの子どもめがけて穴の底に飛び込んでゆく。
「くそっ!これじゃ狙えません!」
「アスター!!」
「くっ!この野郎……!」
アスターさんに叩き切られたハーピィの、ピギィッ!!という鳴き声と、怖がるアウドムラの子どもの、ブメエェエエエ!という野太い鳴き声が、穴から何度も聞こえてくる。
「ぐあっ!?やりやがったな!」
「アスター!?」
「アスターさん!──行きましょう!」
俺とインダーさんが立ち上がり、穴に向かおうとした時だった。何かがキラキラと、すり鉢状の穴の底めがけて降り注いでゆく。
「みんな!アスターに祝福を!」
「アスター!頑張って!」
「俺たちがついているぞ!」
「負けるなアスター!」
「頑張れアスター!」
「エレインを必ず助けて!」
低い木の間に隠れていた、ポッチュを含むコロポックルたちが、穴の底のアスターさんに、たくさんの祝福を降り注いでいた。
どこから集まって来たのか、すり鉢状の穴の周囲を取り囲むように、たくさんのコロポックルたちが立っていた。さっき別れたおじいちゃんコロポックルの姿も見える。
そういえば、さっきまで俺たちの近くにいた筈のポッチュと、コロポックルの女性の姿が、気が付けばなかった。
「こんなにたくさんの妖精の祝福を、1度に見たのは初めてだ……。」
インダーさんも驚いている。
「おおおおおおおおおお!!」
アスターさんの叫ぶ声がする。
「かかってこいハーピィども!今なら!一晩中だって!戦える気がするぜ!」
アスターさんが、次々にハーピィを切り捨てると、なんと深い穴の底から、ジャンプ一発で、飛び上がって出て来た。
横一線!!アスターさんの大剣で、1度に何体ものハーピィが切り捨てられた。
「す、凄いな……。」
「あれが祝福の力なんですか?加護と何が違うんでしょう?俺は加護は貰っていますが、祝福を受けたことがなくて……。」
俺はインダーさんにたずねた。
────────────────────
X(旧Twitter)始めてみました。
よろしければアカウントフォローお願いします。
@YinYang2145675
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
7/29よりピッコマでコミカライズ先行配信中です!
9話(1話3分割)まで無料で読めます。
1話につきハート10個までつけられます。
たくさんの応援お待ちしています!
継続の為には売れ行きが大切なので、よければ買って下さい(*^^*)