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第137話 コロポックルの祝福②

 アスターさんに一斉にハーピィたちが襲いかかり、アスターさんがそれを大剣で蹴散らして行く。穴にたどり着くのを優先して、ハーピィが一撃で死ななくても、深追いはせずに走り抜けてゆく。

「──おっと。ファイヤーボール!!」

「ピギィッ!!」


「すみません。──いけました。」

「なんの。」

 俺を狙って飛んできたハーピィを、インダーさんがファイヤーボールで燃やす。森の木々に配慮して火力をおさえているから、怯ませるくらいしか出来ないが、怯んだところを俺がオリハルコン銃で撃ち落とした。


「助けに来たぞ!」

 アスターさんはそう叫ぶと、すり鉢状の穴へと飛び込んで、地面にドシンと着地をし、ハーピィたちへ向けて大剣を構えた。

「さあ、どっからでもかかってきやがれ!」

 アスターさんがハーピィを睨んだ。


 アスターさんの後ろで、急に飛び込んで来たアスターさんにも怯えたアウドムラの子どもが、立ち上がって逃げようとしたが、どうやら足を怪我していたらしく、そのまま、また地面へと、座るようにへたりこんでしまった。登れないのは怪我もあったんだな。


 俺やインダーさんからは、すり鉢状の穴の底は半分くらいしか見えない。つまりアウドムラの子どもの前に立つアスターさんの姿がよく見えない。穴の入口にいるハーピィを撃ち落としていたが、ハーピィたちは俺たちよりも、アスターさんとアウドムラの子どものほうが与し易いと思ったのか、「ピギィイイイ!!」と鳴いて一斉に穴に襲いかかった。


 それは本当に一瞬のことだった。瞬間初速の速度だけなら、ワイバーンよりも早いかも知れない。穴の入口が、一瞬ハーピィに覆われて見えなくなるくらい、大小たくさんのハーピィたちが、アスターさんとアウドムラの子どもめがけて穴の底に飛び込んでゆく。


「くそっ!これじゃ狙えません!」

「アスター!!」

「くっ!この野郎……!」

 アスターさんに叩き切られたハーピィの、ピギィッ!!という鳴き声と、怖がるアウドムラの子どもの、ブメエェエエエ!という野太い鳴き声が、穴から何度も聞こえてくる。


「ぐあっ!?やりやがったな!」

「アスター!?」

「アスターさん!──行きましょう!」

 俺とインダーさんが立ち上がり、穴に向かおうとした時だった。何かがキラキラと、すり鉢状の穴の底めがけて降り注いでゆく。


「みんな!アスターに祝福を!」

「アスター!頑張って!」

「俺たちがついているぞ!」

「負けるなアスター!」

「頑張れアスター!」

「エレインを必ず助けて!」


 低い木の間に隠れていた、ポッチュを含むコロポックルたちが、穴の底のアスターさんに、たくさんの祝福を降り注いでいた。

 どこから集まって来たのか、すり鉢状の穴の周囲を取り囲むように、たくさんのコロポックルたちが立っていた。さっき別れたおじいちゃんコロポックルの姿も見える。


 そういえば、さっきまで俺たちの近くにいた筈のポッチュと、コロポックルの女性の姿が、気が付けばなかった。

「こんなにたくさんの妖精の祝福を、1度に見たのは初めてだ……。」

 インダーさんも驚いている。


「おおおおおおおおおお!!」

 アスターさんの叫ぶ声がする。

「かかってこいハーピィども!今なら!一晩中だって!戦える気がするぜ!」

 アスターさんが、次々にハーピィを切り捨てると、なんと深い穴の底から、ジャンプ一発で、飛び上がって出て来た。


 横一線!!アスターさんの大剣で、1度に何体ものハーピィが切り捨てられた。

「す、凄いな……。」

「あれが祝福の力なんですか?加護と何が違うんでしょう?俺は加護は貰っていますが、祝福を受けたことがなくて……。」

 俺はインダーさんにたずねた。


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