「ん~……。そうだなあ。祝福は割りと貰っている場所や人が多いんだ。その場所や人間にとっていいことがおこる、みたいな……。
スキルなんかも祝福って言われてるな。
ただし、神の、だけどな。妖精の祝福でスキルを与えられることはないんだ。」
「そうなんですか?」
「妖精の祝福は、その人の持っている能力を向上させたり出来るのさ。木が与えられれば立派に丈夫に生長するし、木工加工職人が貰えば、人より優れた加工が出来るようになるとか、そういう感じだな。つまり妖精の祝福は、元々ない能力は伸ばせないんだ。」
「なるほど……。」
だからアスターさんの戦う力が伸びたってことなのか。こうしている間にも、余裕そうに笑いながら、ハーピィを切り捨てている。
「そもそも、普通の妖精にはそこまでの力がないからな。だが割りと気軽に祝福してくれたりもする存在だ。それでも、普通は1人の人間に妖精1体が普通なんだが……。」
かなり気に入られたってことなのかな?
「妖精王や妖精女王ともなれば、祝福も加護も与えられるが、滅多なことじゃあ人間には授けないと言われているよ。妖精、精霊、神獣、神の順番で力が強いんだ。そして妖精、精霊、神獣それぞれに王が存在するのさ。」
カイアは植物の中の精霊王だから、下から2番目に力が強いということか。
聖女である円璃花が手に入れる予定の神獣と、精霊王とだったら、どちらが強いのだろうな?加護を与えて貰えるんだとして。精霊でも王なら、それなりに強い気もするが。
「加護はもっと強いというか、滅多に貰えるもんじゃないし、精霊以上じゃないと与えて貰えないとされているな。対象に守りを加えるものだから、当然祝福よりも強くなる。」
ああ。祝福は幸魂(さきみたま)、加護は大御守(おおみまもり)とか護加(まもりくわえ)みたいな違いか。神道でいうと。
俺たちが、アスターさんが余裕そうだと見て、インダーさんから説明を受けていると、
「おーい!ぜんぶやっつけたぞ!アウドムラの子どもを、穴の上に引き上げるのを手伝ってくれ!俺がロープをかけるから!」
と、アスターさんがこちらに手を振った。
「ああ!待っていてくれ!」
インダーさんが、マジックバッグからロープを取り出しながら、すり鉢状の穴に近付くと、アスターさんにロープの端を手渡した。
アスターさんが、ロープの端を持って、再びすり鉢状の穴の底へと飛び込んだが、いざロープをかけようとすると、アウドムラの子どもが嫌がって逃げてしまい、ロープをかけることが出来なかった。
「おい、何してんだ、こっちに来いよ。母ちゃんのところに帰れるんだぜ?」
「……ひょっとしたら、人間の匂いが嫌なのかも知れませんね。子どもでこうなら、下手に触って人間の匂いがついたら、もしかして母親が育児放棄するかも知れません。」
野生動物はそういうことも多いからな。
「ああ……確かにそういうことはあるな。」
「んなこと言われたってどうしたら……。」
インダーさんが俺の言葉にうなずき、アスターさんが困り果てて頭をかいた。
「まかせて!オイラたちが運ぶよ!
みんな!そーれ!!」
コロポックルたちが、わーっと楽しげに、すり鉢状の穴の底へと、またキラキラしたものを降らせてゆく。すると、ふわり、とアウドムラの子どもが浮き上がった。足が地面につかないことに怯えて、ブメエェエエエ!と鳴きながら、ジタバタと足を動かしたアウドムラの子どもが、穴の外へと姿を現した。
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