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第138話 鶏もも肉と、にんじんと、長ネギと、ほうれん草と、タケノコの水煮と、卵と、絹ごし豆腐と、ブナシメジと、②

第138話 鶏もも肉と、にんじんと、長ネギと、ほうれん草と、タケノコの水煮と、卵と、絹ごし豆腐と、ブナシメジと、刻み海苔のワカメスープ雑炊②


「できるよ!」

「できる!」

「運ぶぞー!」

「そーれ!そーれ!」

「キャッ!?」

 言うなり、コロポックルたちの魔法で、エレインさんの体がふわり、と浮かんだ。


「ベー、エレインを守ってくれてありがとうな。エレインは連れて帰るよ。元気でな。」

 アスターさんがそう言うと、ベーが、ブメエェエエエ、とアスターさんを見て鳴いた。

 コロポックルたちが魔法でエレインさんを上に運ぶ横で、俺たちはなんとかロープを使って上に上がった。


 アウドムラみたく、木を登って上がれたらいいんだけどな。木と地面がちょっと離れているから、俺たちにそこを飛び移って上に上がるのは無理な距離だった。

 村に戻ると、インダーさんが信号弾を打ち上げる。エレインさんが見つかったと、遠くに探しに行っていた人たちにも伝える為だ。


 続々と村人や冒険者たちが戻って来て、エレインさんの無事を喜んでくれた。エレインさんを陥れたあの男の姿は木の下に見えなかったのだが、既に役人に引き渡されたとザキさんたちが教えてくれた。エレインさんと顔を合わせなくてすんで良かったなと思った。


「じゃあ、すみませんが、台所をお借りしてもよろしいでしょうか?エレインさんはベッドで休んでいて下さい。」

「あ、はい……。」

「──俺も少し手伝ってもいいか?」 

 アスターさんが俺の顔を覗き込んでくる。


「お前が料理だって!?散々嫌がって、お茶の材料作りですら人任せなお前が!?」

 インダーさんが驚いている。

「そりゃ……、俺だって、病人に出せる料理くらいは、覚えたほうがいいと思ってよ。」

「いいですね、ぜひ手伝って下さい。」

 俺は笑いながら答えた。


「なら、エレインは俺が見ておくよ。」

「お願いします。」

「頼んだぜ、インダー。」

「オイラたちも行くよ!」

 インダーさんが、コロポックルたちとともに、エレインさんを部屋におくって行った後で、どういう心境の変化ですか?と聞いた。


「自分が病気の時に、家族が頼れなかったら不安だろ?だから、その……。なんだ。俺はジョージみたく、なんでも出来るわけじゃあねえし、料理だってわからねえけどよ。」

 と、アスターさんはモゴモゴと歯切れが悪かった。それで?何をすればいいんだ?と、誤魔化すように聞いてくる。


 俺はクスリと笑うと、

「なんでも出来る、自分を愛していない人より、自分の為に変わろうとしてくれる相手のほうが、誰だって好ましいと思いますよ。」

 と言った。

 お、おう、そうだな?と、分かっているのかいないのか、不思議な返事を返されたが。


 俺は鶏もも肉50グラム、にんじん、長ネギ、ほうれん草、タケノコの水煮、卵、絹ごし豆腐、ブナシメジ、刻み海苔、生姜チューブ、炊いたご飯100グラム、ワカメスープの素、ごま油を出した。ご飯は病人向けに少なめなので、普通に200グラムでもいい。

 ご飯は一食で食べられる量にして欲しい。


 スープを透明にしたければ、ご飯をザルで水洗いしてもいいが、栄養が流れていってしまうので俺はやらない。ほうれん草は塩をひとつまみ入れた鍋を沸騰させ、根っこから鍋に入れたら、1分間下茹でをしておき、根っこを切って一口大に切る。油で炒めたほうが栄養が流れないし、正直栄養の吸収もいいんだが、胃が弱っている時に油はちょっとな。


 1人前の計算で、にんじんを4分の1本、皮を剥いて短冊切りにし、ブナシメジ半パックは石づきを取って小房に分ける。ぶっちゃけキノコはなんだっていい。生姜はすりおろしたほうがいいが、面倒なので生姜チューブを使うことが多い。鶏もも肉と絹ごし豆腐半丁は一口大に、長ネギ半本とタケノコの水煮30グラムは、適当な大きさに切っておく。


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