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第142話 アイリスさんとダニエルさん①

 円璃花と子どもたちの分の肉まんも食卓に並べて、いただきますをする前に、先に肉まんと飲み物を、外の護衛の兵士の人たちに、1人ずつ手渡しながらお礼と別れの言葉を告げる。泣いてくれた兵士の人もいて、こっちもちょっと泣きそうになる。夜の交代の兵士の人たちの分も後で忘れずに蒸さないとな。


 朝の交代の人たちは来るんだろうか。そのまま円璃花の迎えの人たちが時間まで警護するなら会えないな。一応作っておいたけど。

 まあ、来なくても冷凍しておけばいいか。

 後で昼間チームと夜間チームの兵士の人たちが、朝のチームの人に恨まれなきゃいいんだが。食い物の恨みは怖いからな。


「私にも出してくれない?そのウィッグ。」 

「構わないが、どんなのがいいんだ?」

「そうね、茶色のロングヘアーにしてみようかしら。ちょっと気分を変えてみたくて。」

 まあ、この家の中じゃ、そのくらいしか楽しみがないものな。


 子どもたちと美味しく肉まんとご飯を食べて、円璃花にウィッグを渡すと、試してみるわね、と円璃花は部屋に上がって行った。

 お風呂に入るまでの時間に、子どもたちと積み木遊びをして過ごした。寝る前にお風呂に入れようとしたのだが、アエラキは今日も円璃花と入ることにしたようだ。


「カイア、アエラキ、キラプシア、円璃花お姉さんとは、明日でバイバイだからな。円璃花お姉さんは明日から王宮で暮らすんだ。」

 そう言うと、カイアは、ピョル……、と寂しそうな表情をしたが、アエラキはよく分かっているのかいないのか、キラプシアと同じくキョトンとした顔をしていた。


 いざ寝ようとした段階で、カイアが円璃花のロングスカートの裾を、クイッと引っ張って見上げながら、ピョル……と言った。

 円璃花はクスッと笑うと、

「カイアちゃん、今日は一緒に寝る?」

 と尋ねた。カイアがコックリとうなずく。


 なんだかんだ、昼間は円璃花に遊んで貰うことが多かったし、アエラキ程じゃないにしても、カイアもしっかり円璃花に懐いていたからな。アシュリーさんたち以上に、長いことこの家にいたから、いなくなることを理解しているカイアは寂しいんだろう。


「じゃあ、今日は頼むな。」

「ええ。一緒にお姉ちゃんのお部屋に行きましょう、カイアちゃん、アエラキちゃん。」

 カイアとアエラキは、円璃花に連れられて部屋に消えていった。俺はキラプシアを巣箱に入れてやる。キラプシアだけは潰したらまずいので、必ず巣箱の中で寝るのだ。


「今日は2人っきりだな、キラプシア。」

 キラプシアに声をかけると、俺の手のひらの上から降りようとしない。巣箱になかなか入ろうとせずに、俺を見上げている。俺が寂しそうだから心配してくれているのかな?

 思わずふっと笑みがこぼれる。


「だいじょうぶだ。円璃花がいずれいなくなるのは分かっていたし、カイアも俺と寝ないのは今日だけだからな。明日からまた、元の暮らしになるだけさ。アエラキとキラプシアもいるから、俺はさみしくなんかないぞ?」

「チチィ!」

 キラプシアが巣箱に入ってくれたので、おやすみ、と声をかけて明かりを消した。


 今日は勲章授与式典かつ、円璃花が我が家から出る日でもある。朝の交代の護衛の兵士の人たちは、円璃花を王宮まで案内する人たちとはまた違う所属なのだそうで、朝起きたらしっかりいつもの彼らが外に立っていた。

 円璃花との最後の朝食を食べる。


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