ちょっとだけ2人の関係が心配になってしまう。だからエドモンドさんは王宮にも色々と顔がきいたんだな。国一番の商会の副長とはいえ、なんでトップの人間じゃなく、副長のエドモンドさんが毎回交渉担当になっているんだろうとか、思ってはいたんだよな。
そもそも俺とメッペンさんの叙爵についてだって、平民が王族に打診をするとか、不敬罪に問われたっておかしくない、生意気な申し出なんだよな。信頼関係があるのが分かっているから、それが出来てもおかしくないのかもと思う反面、そこまで直接要求してしまえることが、少し不思議だったんだ。
だが、伯爵家以上の特定の貴族しか呼ばれないこの授与式典に呼ばれる程の、家格の家柄の出だと言うのであれば、また少し話は変わってくる。エドモンドさんは、平民を貴族にするしないの話を、国益の為に王族に提案出来るくらいの立場の貴族だということだ。
ひょっとしたら、侯爵家以上なのかも知れないなあ。だが父親の名代で式典に参加出来るような貴族の跡継ぎが、平民に混じって仕事をするなんてこと、あるんだろうか?
ひょっとしたら次男以下で、爵位を継げないのかも知れないな。だからあんなに、商売で結果を出そうとしているんだろか。
「ジョージさん、いつの間に外に?」
「連れを迎えに行っていました。」
円璃花、アイリスさん、ダニエルさんが、エリックさんとメッペンさんに会釈する。
平民として潜り込んでいるから、さすがに円璃花もカーテシーはしなかった。
「……あれ、エリックさん、ジュリアさんはどうなさったんですか?」
「ああ、化粧を直しに行っています。」
とエリックさんが言った。
一人にしてだいじょうぶか?とも一瞬思ったが、まあ、王宮の中だし、護衛の兵士たちもそこここにいるからな、と思い直した。
「私もお化粧を直してくるわ。」
「では私も。」
円璃花とアイリスさんが、連れ立ってトイレに行ったところで、そろそろお時間ですので、授与式典に参加される皆さまは、中にお入り下さい、と文官が声をかけてきた。
「連れが離れているのですが……。」
「お名前をお聞かせいただけますか?」
「ジョージ・エイトです。
連れはエリカ・トーマスと言います。」
「ああ、伺っております。お連れさまが戻られましたら、席にご案内いたしますのでご安心下さい。どうぞ、中に。」
「分かりました。
よろしくお願いいたします。」
この人は、聖女様のことを知っているんだな。俺とメッペンさんと、ダニエルさんと、エドモンドさんは、授与式典参列者の席に、エリックさんは通路を挟んだ反対側の、前の方の席に、それぞれ案内された。
本来なら俺も前の方の席なのだろう。メッペンさんと、授与式典のしきたり練習の時にいた他の人たちは、全員ひとつ前の方の列に並んで座っている。彼らと離し過ぎすに、それでいて会話が届きにくい、彼らの斜め後ろの絶妙な配置で座らされていた。これなら俺1人離れていても、そこまで違和感はない。
エリックさんはジュリアさんと、一度自分たちの席を確認しておいたらしく、ジュリアさんの案内は不要と文官に伝えていた。
しばらくしてジュリアさんが、少し青ざめた表情で、通路を挟んだ反対側の席に戻り、少し遅れて円璃花がプリプリしながら席に案内されて、アイリスさんと椅子に腰掛けた。
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