赤い巻き毛のロングヘアーをふさふさと背中に流している。白い長袖のシャツにピッタリとしたカーキ色のスラックス。背中しか見えないけど、引き締まった腰やパンと張ったヒップに思わず目が行く。
カウンターの向こうでゆらめいているロウソクの明かりで、ボディラインの陰影が浮かび上がっているのが、すでにエロティックだ。正面に回って、どれだけグラマーなのか確認したくなる雰囲気を、プンプンと漂わせていた。
彼女を斜め後方から見る位置まで移動して、テーブルに陣取った。俺とベンはビール、エドワードはカフェオレを頼んだ。エドワードは酒を飲まない。飲めるのかもしれないけど、飲んでいるのを見たことがない。ベンは強くないくせに飲む。すぐにベロベロになって正体をなくすので飲んでほしくないのだが、格好つけて飲もうとするので困っている。
俺も実はほとんど飲めない。だが、テーブルに来た時に3人のうち2人がソフトドリンクだったら、どう思う? そんなお子ちゃまパーティーに入りたいか? 俺なら嫌だ。なので、なんとか一杯くらいなら飲めるビールにしておいた。
聞き耳を立てる。俺は職業柄、視覚や聴覚がそこらのヤツらより優れている。薄暗くてザワザワしている酒場でもよく見えるし、よく聞こえる。
血色のいいほおに、ぽってりとした唇。長い前髪に隠れて、目元は見えない。
「こんにちは、お嬢さん。隣に座ってもいいかな?」
ウルリックは慣れた様子で声をかけた。こいつは声をかけるだけなら、すでに何百人という女子に声をかけている。ベンには高いハードルだろうが、これくらいは朝飯前だ。
「えっ? あ、ああ…いいですよ」
不意をつかれたのか、彼女は少し驚いた様子で返事をした。その拍子にこちらを向いた。
おお、美女だ。かわいい。クリクリとした大きな目に、ツンと上を向いた鼻。歳の頃は俺たちより少し上か、もしかしたら同じくらいか。
しかも、巨乳だ!
シャツの胸元がパンパンになるくらいの巨乳だった。ベンが身を乗り出して「むふうん」とうなったのを、俺は見逃さなかった。
「俺はウルリック。見ての通り魔法使いだ。実は今、旅の仲間を探していてね。見たところ冒険者のようだけど今、どこかのパーティーに入ってる? 一人?」
年上かもしれない。俺ならば敬語で話してしまうだろう。だが、ウルリックはまるで自分が年上であることを確信しているかのように、馴れ馴れしく話しかけた。
「ああ〜そうだね…。今はどこにも入ってない。私も仲間を探している最中なんだ」
ウルリックがイケメンだからか、彼女はそれほど警戒している感じではなかった。
「よかったら、ウチのパーティーに入らない? 戦士だよね? 実はもう一人、戦士がほしいなあと思っていたんだ」
足元に置いてある彼女のバックパックをチラリと見て、畳み掛けた。パンパンに膨れあがったバックパックには革製のチェストアーマーが掛けてあり、両手持ちの剣も差してある。この荷物で他の職業はないだろう。
「えっ、そうなんだ。君の他にもメンバーがいるの? ああ、そうそう。申し遅れたね。私、ベロニカって言うんだ」
ベロニカは右手を差し出した。ウルリックは躊躇することなく、その手を握り返す。
「握手したってことは、参加オーケーってことでいいのかな?」
「ああ、そうだな…。まあ、話は聞きたいよ。私も今、一人で困っているからね」
「じゃあ、とりあえず、俺たちのテーブルに来ない?」
あまりにも簡単に女子メンバーを獲得できた。ベロニカは大きなバックパックをヒョイと担ぐと、ウルリックについてこっちにやってくる。
おお、正面から見ると、改めてすごいぞ。目もくらむような巨乳だ。あのおっぱいの下で、チビの俺なら余裕で雨宿りができそうだ。ヒップもデカい。腰をくねらして歩いてくるさまだけで、鼻血が出そうだ。
セクシー・ダイナマイッ!
興奮して英語で叫び出したくなってきた。