エミの眩しい光がカルト信者たちを目くらまし、彼らは混乱して後退した。アレックスは後方で静かに様子を見守りつつ、必要があれば介入できるよう準備を整えていた。
「侵入者を捕まえろ!」とカルト信者の一人が叫び、他の者たちは粗末な武器—短剣、杖、鎖—を取り出した。
「侵入者?むしろヒーローでしょ。」エミは微笑みながら言い、手に光の槍を出現させた。それを軽やかに回転させると、信者たちに向かって突進した。
アレックスはエミに向けて手を伸ばし、集中して彼女を強化する能力を発動した。エネルギーが流れ、エミの速度と精度を高めていくのを感じた。
「せめてこれが早く終わりますように…」アレックスはつぶやきながら見守った。
エミは人間離れした優雅さとスピードで動き、信者たちの武器を容易にかわしていった。彼女の光の槍の一撃で、相手の武器は次々と弾き飛ばされ、彼らを無力化していった。
その中で、他の者よりも背が高く屈強な信者が黒い剣を取り出した。それは暗いエネルギーで振動しているようだった。彼は咆哮しながらエミに突進したが、エミは攻撃を予測して槍で受け止めた。光と影が洞窟全体を一瞬照らした。
「おっと、こいつは腕が立つみたいね。」エミは軽く後退しながら言った。
「油断するな、エミ。」アレックスが警告した。
エミが巨漢と戦っている間、他の信者たちは彼女を囲もうとした。アレックスはこれ以上じっとしているわけにはいかなかった。
「仕方ないな…動くか。」そう言うと、アレックスは前もって召喚していた短剣を手にし、信者の背後に忍び寄った。
正確で素早い動きで、彼は2人の信者を武装解除した。しかし、できるだけ目立たないように行動していた。
「アレックス、危ない!」突然エミが叫んだ。
アレックスは振り返り、信者の一人が暗黒のエネルギー球を投げつけてくるのを目にした。とっさに手を上げると、小さな光の盾が現れ、それがエネルギー球を吸収した。
「これは…?」アレックスは自分の反射に驚いた。
「魔法が目覚めたのね!すごい!」エミは自分の戦いの最中でも微笑みながら言った。
「今それを喜ぶ時間じゃないだろ…」アレックスは集中を維持しようとしながら答えた。
エミが巨漢の信者をついに胸への一撃で倒すと、他の信者たちは明らかに怯えて後退し始めた。
だがその時、洞窟全体に響く恐ろしい咆哮が鳴り響いた。倒れていたリーダーが深く、低い声で笑い出した。
「そんな簡単に終わると思ったか?」彼の体は黒い鱗に覆われ、5メートルもの巨大な姿に変わり始めた。額からは2本の大きな角が生え、背中には膜状の翼が広がった。
「悪魔だ!」エミは一歩下がりながら、槍を構えた。
「これは厄介なことになったな…」アレックスはその巨体を見上げながら呟いた。
悪魔は咆哮し、巨大な手を振り上げて暗黒のエネルギー波を放った。洞窟全体が揺れ、エミは横に飛び避け、アレックスは再び盾を召喚して防いだ。
「エミ、これ以上こいつを外に出すわけにはいかない。」アレックスは冷静に言った。
「分かってる。あなたはいつものようにサポートして、あとは私に任せて。」エミは自信たっぷりに答えた。
エミは悪魔の大きな爪をかわしながら光の矢を放って気を引いた。アレックスは後方から彼女を強化し続けた。
悪魔は怒り狂い、口を大きく開けて黒い炎を吐き出した。その炎は洞窟を地獄のような赤い輝きで満たした。エミは強化された敏捷性で高く跳び、炎をかろうじてかわして槍を悪魔の胸に投げつけた。
槍は深々と刺さったが、それでも悪魔は倒れなかった。
「アレックス、もっと力を貸して!」エミは叫んだ。
アレックスは目を閉じ、全力で集中した。そして、エミに向けてすべてのエネルギーを送り込んだ。彼女の体は黄金のオーラに包まれ、槍は眩い光を放ち始めた。
「これで終わりよ!」エミは叫び、再び悪魔に突進した。彼女は槍を素早く突き立て、悪魔の心臓を貫いた。その瞬間、洞窟全体が光の爆発で震えた。
悪魔は最後の咆哮を上げた後、崩れ落ち、その体は暗黒の粉塵となって消えた。
エミは深呼吸をし、疲れた表情で満足げに微笑んだ。
「いやー、これはなかなかだったね。」彼女は岩にもたれかかるアレックスに歩み寄りながら言った。
「次は冒険の選択を僕にさせてくれ…」アレックスは息を整えながら返した。
二人はしばらくその場に留ま
り、漂う粉塵を見つめていた。エミは微笑みを浮かべた。
「ほら、いいコンビでしょ。」
アレックスはため息をついたが、微かな笑みを返した。