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第3+2章: 闇の余波

ザレクとの遭遇の後、一行は村の外れにある仮設基地へと戻った。空気は張り詰め、あの謎の男の言葉がまだ彼らの心に響いていた。


「こんな状態で黙っているわけにはいかないわ。」

アリアは火のそばで剣を研ぎながら言った。炎をじっと見つめ、その中に答えを探しているようだった。


EMIは、持参したルーンの本をめくりながら頷いた。

「あのザレクという男、ただ強いだけじゃない。私たちの力を測るために遊んでいたのよ。」


アレックスは一人、装備をつけたまま、木の破片を手でいじっていた。一見落ち着いているように見えるが、その頭の中では絶え間なく思考が巡っていた。

「彼が送り込まれたのは脅すためだけなのか、それとももっと大きな計画の一環なのか?」


EMIは本から目を離し、考え込むように顔を上げた。

「両方だと思うわ。暗黒の魔術師が私たちの動きを知っているなら、計画を完成させるまでの時間稼ぎをしたいはずよ。」


その時、黒いカラスが火のそばに降り立った。足には小さな巻物が結びつけられている。


「使いの鳥か?」

アレックスが慎重に鳥へ近づく。


アリアが巻物を取り上げ、声を出して読んだ。

「『明朝、三つの道が交わる場所へ来い。お前たちが見るべきものがある。――Z』」


「ふざけているのか!」

アリアは巻物を握り締めて叫んだ。


「明らかに罠ね。」

EMIが本を力強く閉じながら言った。


しかし、アレックスは無言のまま、彼を見つめるカラスをじっと見つめていた。しばらくして、静かに口を開いた。

「罠でも行くべきだと思う。もしザレクが本気で呼んでいるなら、何か情報を得られるかもしれない。」


「正気じゃないの?」

アリアが彼を睨みつけた。

「あいつ一人で全員を壊滅させることだってできるのよ。」


「リスクはあるけど、アレックスの言う通りだわ。」

少しの沈黙の後、EMIが言った。

「もし今動かなければ、わずかなチャンスさえ失うかもしれない。」


激しい議論の末、一行は招待を受けることに決めた。


翌朝、指定された場所――三本の道が交差する森の中――へと到着した。周囲は異様に静かで、風が木々を揺らす音だけが響いている。


「これ、絶対に罠だ。」

アレックスが首元を直しながら呟いた。


「警戒して。」

アリアが剣の柄に手を置きながら答えた。


突然、影の中から一つの人影が現れた。それはザレクだった。あの不敵な笑みを浮かべている。


「来てくれて嬉しいよ。君たち、思った以上に勇敢なんだね。」


「何が目的だ?」

EMIが腕を組みながら問いかける。


ザレクは低く笑った。

「まあまあ、落ち着いて。今日は戦うつもりはない。ただ…見せたいものがあるだけさ。」


彼が手を動かすと、大地が震え始め、目の前に幻影が映し出された。そこには、暗い光で照らされた巨大な洞窟があり、何百ものフードを被った人々が大規模な儀式を行っている様子が映し出されていた。


「これが迫り来る未来だ。」

ザレクが真剣な声で言った。

「私の主は力を蓄えている。そして、君たちが何もしなければ、これが君たちの滅びの光景になる。」


「なぜこんなことを見せる?」

アレックスが目を細めて問いかける。


ザレクは再び笑みを浮かべた。

「君たちが避けられない運命に抗う様子を見るのが楽しいからだよ。それに、私の主は挑戦を楽しむ性分でね。」


彼らが返事をする間もなく、ザレクの姿は再び消え、残された幻影も数秒後にかき消えた。


「全く意味がわからない。」

アリアがザレクが立っていた場所を睨みつけた。

「なぜあんな貴重な情報を教えるんだ?」


「私たちを弄んでいるのよ。」

EMIが拳を握りしめて言った。

「まだ分からない目的で、私たちを利用している。」


アレックスは無言で交差点を見つめていた。ザレクの言葉には何かしらの真意が込められているようで、それが彼を深く不安にさせていた。


「このことを公爵に報告して、最悪の事態に備えないと。」


最終的に彼が口を開いた。


あの洞窟の光景が心に焼き付いたまま、一行は村へと戻った。不安と決意が入り混じる中、事態がさらに複雑化する予感だけが彼らの胸を支配していた。


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