遠くで爆発音が響き渡り、大地が足元で揺れた。アレックス、アリア、そしてEMIは素早く視線を交わし、爆発の音源へと走った。到着した彼らが目にしたのは混沌だった。建物は瓦礫の山と化し、空気には埃が舞い、叫び声があちこちから聞こえてきた。その中心には、破壊を楽しむ見覚えのある人物がいた。
ザレクは狂気の笑みを浮かべ、血に染まった2本の刀を持ちながら、まるでこの混乱がゲームであるかのように笑っていた。
「おやおや、誰が来たかと思えば!」と彼は劇的に両腕を広げて叫んだ。「退屈してたところだ!」
彼らがザレクに向かおうとしたその時、巨大な影が彼らを覆った。瓦礫の中から、他の誰よりもはるかに大きな体躯を持つ男が現れた。その男は部分的な鎧を着込み、胸部、腕、膝が覆われていた。その表情には危険な興奮が見て取れた。
警告もなく、その男はEMIに向かって突進し、その速度は目で追うのがやっとだった。EMIは咄嗟に光の盾を掲げたが、その衝撃は彼女を数メートル後退させ、地面にはひびが入った。
男はザレクの隣に戻り、腕を組みながら笑みを深めた。「面白くなりそうだな。」
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深く響く轟音がグループ全員を凍りつかせた。彼らの背後では、巨大なピンク色のライオンが地面から立ち上がっていた。その大きさは普通のライオンの3倍であり、首、前脚、そして尻尾の一部には黒い鱗が覆われており、昼間の光の下で不吉な輝きを放っていた。
アレックスは本能的に後ずさりした。以前の単独任務中、このライオンに助けられた記憶が蘇り、その圧倒的な力を思い出して震えた。
「また会ったな、小さき人間よ」と、ライオンは深く疲れた声で語りかけた。
彼らの頭上では、黒い魔法の層の上に優雅に浮かぶ小柄な男が姿を現した。その邪悪な笑い声は不気味な反響となって響き渡り、彼らを見下ろしていた。
「ようこそ!」と男は劇的に宣言した。「私はお前たちを破滅へと導く偉大なる指導者だ。しかしその前に、仲間たちをきちんと紹介させてもらおう。これは死ぬ前の英雄たちへの礼儀だ!」
屈強な男が一歩前に出て、拳を地面に叩きつけた。「俺はガロッシュ、破壊の鉄槌だ。お前たちを叩き潰すのが待ち遠しい。」
ザレクは軽蔑的な笑みを浮かべながら言った。「俺のことは知ってるだろうが、一応言っておくぜ。俺はザレク、お前たちの命をこの世界から切り離す刃だ。」
ライオンが口を開き、その疲れた声は雷鳴のように響いた。「我が名はアズラス、夜の守護者だ。他に何も言う必要はない。」
浮かぶ魔導師は手を挙げて笑いを止めた。「そして俺はソラニス、お前たちの敗北を設計する者。この戦いは1対1の決闘だ。それぞれが俺たちの中の一人と戦う。なんて素晴らしいショーになるだろう!」
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ザレクはアレックスを指さしながら嘲笑を浮かべた。「正直言って、俺の主人がなぜこんな役立たずを生かしておきたいと思ってるのか理解できねえ。魔法もない、力もない、逃げることさえ知らない奴が、この戦場で何をしている?」
アレックスの心臓は早鐘のように打ち始めた。ザレクのような男がなぜ彼に興味を持つのか? そして、この謎めいた主人とは一体誰なのか?
考える間もなく、ザレクは刀を振り上げてアレックスに突進してきた。
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突然の光と埃の爆発が、ザレクの攻撃をアレックスから数センチのところで止めた。埃が晴れると、アレックスの前には、以前助けた女性セリーナが立っていた。冷たい表情を浮かべ、ザレクの刀を片手で押さえていた。
ザレクは数歩後退し、驚きの表情を見せたが、その狂気じみた笑みは消えていなかった。「またお前か? 俺を止められると思ってるのか?」
セリーナは軽蔑のこもった声で言った。「止めるというより、お前には虫唾が走る。」彼女の手から輝くオーラが発せられ、ザレクの刀は粉々に消滅した。
ザレクは歯を食いしばりながら、笑みを無理やり浮かべた。「面白いじゃねえか。少しは楽しめそうだ。」
セリーナはアレックスの方に振り返り、その表情が和らいだ。「命を救ってもらった礼だ。それに、妹に頼まれた。」
アレックスは驚きながらまばたきをした。そして久しぶりに、彼の顔に微かな笑みが浮かんだ。「ありがとう、セリーナ。ちょうどいいタイミングだった。」
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ソラニスは上空から拍手を送り、明らかに楽しんでいる様子だった。「これで役者が揃ったな! もっと盛り上がるぞ。」
アズラスは吠え、ガロッシュは拳を打ち鳴らした。ザレクは腰からもう一本の刀を抜き、セリーナはアレックスの前に魔法の盾を掲げた。
戦いの幕が上がろうとしていた。緊張
感が漂う中、アレックスは力も魔法の才能もない自分にできることを考えていた。
「これからが本番だ」とソラニスは不気味に笑った。