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第48章: 解き放たれた獅子の怒り


アズラースは頭を上げ、咆哮した。その圧倒的な声が空気を震わせ、洞窟全体が揺れた。足元の地面がひび割れ、彼の蒼黒いオーラが一気に膨れ上がる。


アレックスの背筋に冷たい戦慄が走った。アズラースの魔力が、先ほどとはまるで別物に感じられる。さっきまでのものが微風だったとしたら、今は制御不能な嵐だ。


「セレナ!」アレックスは驚愕の表情で振り向く。「お前、一体何を考えてたんだよ?!」


セレナは腕を組み、不敵な笑みを浮かべた。


「調査しろって言ったのは誰? 地下の祭壇、ただの飾りじゃないみたいね。アズラースと何かしら繋がってると思ったから、どこまで押せるか試したかったのよ。」


アレックスは拳を握りしめた。


「おかげで、奴は全力を解放しちまったぞ! 最高のアイデアだな、天才!」


「はぁ、アレックス。」セレナは舌打ちしながら肩をすくめた。「どうせ戦うなら、相手の本当の実力を知っておくほうがいいでしょ?」


アレックスが反論しようとした瞬間、圧倒的な威圧感が彼らを襲った。


「もう話は終わったか?」


アズラースの低い声が響く。彼の蒼い瞳が闇の中で二つの星のように輝いていた。


「次は俺の番だ。」


アズラースの巨体が一瞬で間合いを詰めた。漆黒の魔力をまとった前脚が、雪崩のような勢いでアレックスに襲いかかる。


「アレックス、避けて!」


アリアの叫びが響くが、アレックスは反応が間に合わない。ただ、本能的に両腕を上げることしかできなかった。


そのとき——


「私を忘れないでよ!」


金色の閃光が横を駆け抜けた。


EMIが、拳に光の魔力をまとわせ、アズラースの攻撃を迎え撃つ。


轟音と共に、二つの力が激突した。衝撃波が洞窟を揺らし、光と闇の魔力がぶつかり合って火花を散らす。


しかし、アズラースは薄く笑った。


「面白い……が、足りないな。」


突如、彼のもう一方の前脚が異常な速さで動く。


「——しまった!」


EMIが気づいた時にはもう遅かった。鋭い爪が彼女の腹部を切り裂くように叩きつけ、彼女の体は壁へと吹き飛ばされた。


「EMI!」


アリアが悲鳴を上げる。


アレックスの心臓が早鐘を打つ。EMIが攻撃を受けることは珍しくないが、これほどの威力で吹き飛ばされるのは初めてだった。


だが、考える暇もない。次の瞬間、アズラースの影が彼の頭上に迫っていた。


「次はお前だ、人間。」


猛烈な衝撃が腹部に炸裂した。


「ぐっ…!」


アレックスの視界が揺らぎ、彼の体は地面を何度も転がった。息を整える間もなく、激痛が全身を襲う。


「くそっ……これが……本気の一撃か……」


セレナは歯を食いしばった。


「状況が……悪くなってきたわね。」


「今さら?」アリアは影の魔法を展開しながら答える。「このままじゃ、本当に潰されるわよ。」


アレックスは必死に呼吸を整えながら、頭を回転させる。


「力比べじゃ勝ち目がない……あいつの力を完全に引き出してしまった以上、別の方法で戦うしかない。」


セレナが彼を横目で見る。


「策はあるの? "天才戦略家"さん?」


アレックスは一瞬目を閉じ、すぐに小さく頷いた。


「……ある。でも、全員の完璧な連携が必要だ。それと……」


彼は再び立ち上がったEMIを見た。彼女は口元の血を拭い、不敵な笑みを浮かべていた。


「……全力を出し切る覚悟もな。」


アズラースはその様子を観察しながら、興味深そう

に目を細める。


「ほう……またやる気か?」


漆黒の魔力がさらに濃くなる。彼の爪が闇に包まれ、圧倒的な殺気が辺りに満ちる。


「なら、見せてみろ。俺を倒せる力があるのか……!」


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