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第[5X]章: 漆黒の獅子の咆哮

戦場の空気は緊迫し、アズラスの闇のエネルギーが広がっていた。アリアの影の巨像が威風堂々と立ちはだかり、EMIの光の波動が激しく煌めき、セレナの崩壊魔法が空間を危険なまでに震わせていた。


しかし、彼らの強化された力の前に立つのは、漆黒の獅子アズラス。その堂々たる鬣(たてがみ)は青白い炎と揺らめく影に包まれ、黄金の瞳が鋭く輝いていた。まるで獲物を狩る直前の捕食者のように、彼は静かに身を低く構えた。


—「理解していないな……」


その声は、まるで精神に直接響くような重みを持っていた。


—「貴様たちに勝利はない。」


次の瞬間、アズラスの姿が消えた。閃光のような速度で移動し、一瞬のうちにEMIの目の前へと現れる。その巨大な爪が漆黒のオーラを纏い、容赦なく振り下ろされた。


EMIは瞬時に拳に光を宿し、迎撃する。激しい閃光と衝撃が爆発し、彼女はなんとか攻撃を防いだ。しかし、その勢いに押され、数メートル後方へと吹き飛ばされてしまう。地面には深い爪痕が刻まれた。


—「EMI!」


アレックスが歯を食いしばりながら叫ぶ。


だが、アズラスの猛攻は止まらない。流れるような動きでアリアの影の巨像へと向かい、強烈な一撃を繰り出した。巨像は両手でその爪を受け止めようとするが——


—「ぐっ…!」


獅子の圧倒的な力がそれを凌駕した。轟音とともに影の巨像が貫かれ、黒い霧のように一部が弾け飛ぶ。


—「まだ終わらせない!」


アリアが叫び、両手を前に突き出しながら巨像を再構築しようとする。だが、その瞬間、アズラスの爪が彼女に迫っていた。


その時——


セレナが瞬時に割って入り、崩壊魔法を纏った手でアズラスの爪を迎え撃つ。


黒き獅子の爪と崩壊の魔力が激突した瞬間、空間が歪むほどの衝撃が走る。


アズラスは素早く後方へ跳び退いた。その金色の瞳が、初めて興味深げに細められる。


—「ほう……ようやく本気か。」


アレックスは息を切らしながら、仲間たちの様子を見ていた。確かに彼らは強化されていた。しかし、それでもアズラスの圧倒的な力にはまだ及ばない。


(何か……何か突破口が必要だ……)


彼はセレナへと近寄る。


—「あいつは速すぎるし、力も圧倒的だ。でも……さっき、お前の崩壊魔法を前にした時、一瞬だけ動きを止めた。」


セレナが目を細める。


—「……確かに、避けたわね。」


—「奴は耐えられるはずなのに、本能的に距離を取った……それを利用する。」


アレックスはEMIとアリアを振り返った。


—「俺が囮になる。お前たちは、隙をついて一斉攻撃を仕掛けろ。」


セレナが呆れたようにため息をつく。


—「また囮役? 無茶ね。」


アレックスは苦笑する。


—「今さらだろ?」


EMIは笑みを浮かべながら頷いた。


—「いいわ、アレックス。信じてる。」


アリアも拳を握りしめる。


—「絶対に仕留める。」


セレナは彼を見つめ、一瞬だけためらうが、やがて小さく笑った。


—「……死ぬんじゃないわよ。」


アレックスは小さく頷き、構えを取る。


戦いは、まだ終わっていない。


そして今回は、彼らが仕掛ける番だった。


—「行くぞ!」彼の叫びと共に、彼らは再び漆黒の獅子へと突撃し——。



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