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第 [5X-3] 章: 過去の笑い声


闇の魔術師は両手を広げ、巨大なエネルギーの波動を自身の上に集め始めた。


—「アハハハハッ! ただの駒でしかない絶望を存分に味わうがいい!」


紫がかった闇のエネルギーが渦を巻き、空気が重く、圧迫感を増していく。


しかし、その時——


シュラッ!


闇の魔術師の体が硬直した。


何か冷たく、鋭い金属が彼の胸を貫いていた。


信じられないという表情で視線を下げると、そこには暗黒の剣が突き刺さっていた。


—「な…ん…だ…?」


ゆっくりと振り返ると、背後にザレクが立っていた。


彼は不敵な笑みを浮かべ、闇のエネルギーで作られた左腕と右脚を光らせていた。 それはセレナとの戦いの名残だった。


—「チッチッ… まさか自分が主導権を握ってるとでも思ったか?」


闇の魔術師は血を吐きながら問いかける。


—「ザ…レク… なぜ…?」


ザレクは剣をゆっくりと捻りながら、彼の苦しむ様子を楽しんでいた。


—「上からの命令さ。——」


そう言うと、もう一方の手に闇の祭壇を掲げた。 それはまさに、彼が起動しようとしていた装置だった。


—「ボスが、お前はもう用済みだってさ。」


闇の魔術師の顔が恐怖に歪む。


—「ま、待て! 俺はまだ——!」


ザシュッ!


ザレクは剣を引き抜き、闇の魔術師は膝をついた。 その目から光が消えていく。


—「哀れなもんだ。」


その瞬間、もう一人の存在が現れた。


コツ、コツ…


ガロッシュが闇の中から姿を見せる。 彼の身体は傷だらけで、ほこりまみれだった。 それはEMIとの激戦の証だった。


しかし、彼は笑っていた。


—「へっ… いい戦いだったぜ、EMI。」


彼は光の少女に挑戦的な視線を向けた。


—「いつかまた、リベンジしに来るぜ。」


EMIは拳を握りしめ、悔しさを滲ませながらも、何も言わなかった。


アリア、セレナ、アレックスは困惑していた。


—「…何が起きてるんだ?」アレックスが訊いた。


—「お前たちのボスって誰だ?」セレナがザレクを睨みつける。


—「何のために反物質装置を求めたんだ?」アリアが攻撃の構えを取る。


しかし、その時——


狂気じみた笑い声が響いた。


—「アハハハハハハ!」


闇の中の影が、まるで意思を持つかのように蠢き、収束していく。


そして、一人の女性がその中心から現れた。


彼女は異様な存在だった。


— 短い緑色の髪が先端で尖っている。

— 顔の一部を仮面で隠し、見えているのは片方の青い瞳のみ。

— その体つきは魅力的だが、着ている衣装はザレクと同様、どこか幼稚で奇抜なデザインだった。


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その場の空気が一変した。


彼女はアズラスに穏やかな表情を向けた。


—「あらぁ〜 アズラス、愛しい子。」


偉大なる黒獅子は即座に頭を下げた。


—「お会いできて光栄です、閣下。」


アレックスは背筋が凍るのを感じた。


この女は…一体誰だ…?


しかし、疑問に思う間もなく、彼女は闇の魔術師を見た。


笑顔が消えた。


—「…簡単な命令をしたはずよ?」


空気が一瞬で重くなる。


闇の魔術師は恐怖を感じた。


—「し、閣下… それは…」


彼女は面倒そうに目を細めた。


—「アレックスをこの戦いに巻き込むなって言ったでしょ?」


沈黙が降りる。


EMI、アリア、セレナの心臓が止まったかのように凍りつく。


なに…?


アレックスの目が大きく開かれる。


—「…どういう意味だ?」


彼女は彼をじっと見つめた。


そして、次の瞬間——


消えた。


気づいた時には、アレックスの目の前にいた。


速すぎる。


反応する間もなく、彼女の手がアレックスの顎を掴み、まじまじと顔を覗き込む。


アレックスは彼女を知らない。


しかし、彼女は——


狂気じみた笑いを響かせた。


—「アハハハハハハ!」


彼女の瞳は、異様なほど興奮に満ちていた。


—「まさか、こんな形で再会するなんてねぇ!」


彼女はアレックスの顔をさらに近づけ、口元に妖艶な笑みを浮かべる。


—「でも… 嬉しいわ。 すごく、すごくね。」


そして、声のトーンが一変した。


—「もし、あなただじゃなかったら—— 私が殺してたわ。アレックスの背筋に、死の予感が駆け抜けた。



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