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第63章 パート2: ギルドでの会話


アレックスはリナをじっと見つめた。彼女の気楽な態度と自信に満ちた雰囲気は、その洗練された外見と対照的だった。


「ちょっと通りがかっただけだ」彼は落ち着いた声で答えた。


リナは首をかしげ、腕を組んだ。


「通りがかっただけ? ふーん、その装いと仮面を見る限り、仕事を探しているか、何か隠しているように見えるわね」彼女はいたずらっぽく微笑んだ。「心配しないで。私、ミステリーには目がないの」


アレックスはため息をついた。間違いなく、おしゃべりなタイプだ。


「それで、"孤独で謎めいた冒険者"が王都に何の用?」リナはカウンターにもたれながら、興味津々な様子で尋ねた。


「個人的な用事で来ただけだ」アレックスはそっけなく答えた。


リナは眉を上げた。


「ふーん…面白い。でもまぁ、情報が欲しいとか、依頼を受けたいなら、私に言ってね」


その時、騒がしい声とともに冒険者の一団がギルドに入ってきた。


「リナ! 強い酒を頼む! 任務は成功だ!」


リナはため息をつき、しかし楽しそうに微笑んだ。


「はいはい、今行くわよ」


彼女はカウンターの奥へ向かう前に、最後にアレックスへちらりと視線を向けた。


「ずっとここに突っ立ってると、みんなが詮索し始めるわよ~」


アレックスは答えず、ただ興味本位で掲示板へ目を向けた。



---


興味深い掲示


掲示板にはさまざまな依頼が張り出されていた。


モンスター討伐


護衛任務


希少な薬草の採取


古代遺跡の調査



しかし、その中でひときわ目を引くものがあった。


「魔力の異常現象に関する情報を求む。報酬あり。」


アレックスは眉をひそめた。魔力の異常現象?


詳しく調べようとしたその時、リナが手にトレイを持って戻ってきた。


「ふむ、それが気になるの?」


「何か知っているのか?」アレックスは掲示から目を離さずに尋ねた。


リナは微笑みながら、トレイをカウンターに置いた。


「詳しいことは分からないけど、最近、魔力が不安定な場所がいくつかあるって噂があるわ。調査に行った冒険者の中には、戻ってこなかった人もいるみたいね」


アレックスは沈黙した。


何かが直感的に告げていた。これは自分のこの世界への転移と無関係ではない、と。


リナは興味深げに彼を見つめた。


「もし調査するつもりなら、気をつけてね。面白いお客さんを失いたくないから」


アレックスは彼女を横目で見た。


「客?」


「もちろん。いずれあなたは情報を求めたり、依頼を受けたりするでしょう? その時は、たっぷりおしゃべりの対価を払ってもらうわよ」


アレックスは小さくため息をついたが、内心ではリナが将来的に役立つかもしれないと感じていた。


それ以上何も言わず、彼はギルドを後にした。


「魔力の異常現象…

 王もこれを知っているのか? だから俺たちは招かれたのか?」


王都の石畳を踏みしめながら、アレックスは確信した。


この都市には、まだ多くの秘密が隠されている。


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