三日後。僕たちは、追手からバレずに、冬国である〈スノーバーグ〉へ辿り着くことに成功した。
「ここが、〈スノーバーグ〉か……」
───〈スノーバーグ〉。四季が関係ない冬国で、女王陛下である『プリムラ』が治めている。プリムラが女王陛下になったとき、〈グローリア帝国〉のルモンド王と揉め、それ以降両者共、睨み合っている。
「クロイ、寒くないか? ほら、俺の外套だ」
街の中は、グローリア帝国よりも狭いが、発展しており、雪が深々と降っている。冬国というのもあって、この国に近づくにつれ、気温も下がっていき、そして辿り着くと、気温がマイナスになり、寒さに弱い僕は、身体を震わせた。
すると、そんな僕を見越したルキアが、自分の外套を僕の肩に掛けたてきた。
「さ、寒くないのか?」
「あぁ。俺の属性は
「そうなんだな。だが、見ている方が寒い」
騎士団の服装は、動きやすいように生地が薄いため、見ている方が、ますます寒くなる。
「それなら、二人でその大きい外套を羽織ったら? クロイの方が背が低いし、体型も小さいから、ルキア君が外套を羽織って、クロイに被されば、ルキア君も寒くないだろう?」
シエルが突然、変なことを言い出したことに驚いていると、ルキアは少し何かを考えた後、シエルの言う通りに外套を羽織り、僕の背中に回っておい被さってきた。
「る、ルキアっ!?」
「シエル殿の言う通り、これなら寒くないな。そう思わないか? クロイ」
僕の耳元で話すルキアに、僕は少し恥ずかしくなり、両手で顔を隠した。
「そこの二人さ~。いちゃつくなら、あっちに行ってよ~」
「いや、シエルが言ったからだろ!?」
「ルキア様とクロイ様は、仲がよろしいですな!」
僕たちを見ていたバーナさんは、クスッと笑った。がっちりホールドされている僕は、ルキアを振りほどくのを諦めていると、横から水色のストレートヘアの女性が、か弱い声で僕たちに話しかけてきた。
「もしかして、シエルちゃん?」
「ゲッ!!」
女性はシエルに駆け寄ると、女性から逃げるように、僕に突進してきた。
「シエル。痛いぞ」
「プリムラ!! 君は何故、いつもあたしに抱き着こうとするんだい!! 迷惑なのだよ!!」
シエルは、指を指しながら女性に怒り始めた。すると、女性はシエルの前にしゃがみ込み、頭を撫でた。
「シエルちゃんは、本当に可愛いね~。怒っているシエルちゃんも、可愛い~!」
「ギャァァァァ!!」
頬擦りもし始めたところで、シエルは悲鳴を上げ、その場に気絶した。
(あのシエルが、気絶するなんて……)
「プリムラ女王陛下様。シエル様が気絶してしまっているので、そこまでにして、頂けませんでしょうか?」
「プリムラ女王陛下様……。え、この人が〈スノーバーグ〉を治めている女王陛下!?」
「あ、あの。そ、そうです……。はい…。私が、プリムラ・メイールです」
シエルが気絶している中、〈スノーバーグ〉を治めている『プリムラ・メイール』と対話することとなったのであった。