……なんか、ウチやアンジーが強いられている苦労はなんなんだろうと、我が身がいたたまれなくなってしまう。
その初代新生はと言うと、ラミアのギャル語説得が功を奏したのだろうか“自分の過去と向き合う決意”をしたようだ。
コッソリと、それでいて上から目線で『もしオレがこの
相変わらず不遜な態度じゃないか。と思いもしたけど、そのあと小さな声で『……頼む』とつけ加えられたとあっては、頼みを聞かない訳にはいかない。
「もう、
「その呼び方やめろ。集中できねぇだろ」
ライズ化する時の流れはウチやアンジーと同じだった。
少しずつ体の大きさが変わっていき最後に”ポンッ”って音と共に煙が発生し、その中から
……しかし今回はちょっとだけ様子が違った。
本来、十メートルを超える巨大な体を人間サイズに凝縮するのがライズ化だ。でも……それだと、人間サイズ以下の恐竜をライズ化したらどうなるのだろう?
その答えが今、ウチ達の目の前にあった。
ライズ化を受け入れたミクロラプトルは小さくなっていき……さらに小さくなっていき……そして小さくなっていった。
“ポンッ”と煙の中から現れたその姿は、物語で見たことのある妖精そのものだった。
身長は二〇センチくらいだろうか、産まれたばかりの妖精は、初代新生の顔の周りをクルクルと飛んでいた。
「初めましてーー☆ミキでっす!」
緑のツインテールに紺のケープレット、ぼわっと薄緑に光っていて、カゲロウのような薄い羽根で優雅に舞う。
ふわっと飛び回って、宙返りをするたびにキラキラと輝き、いつの間にかみんな魅入ってしまっていた。
それにしても、こんなファンタジーな
「ねおりん、ねおりん☆ よろしくネ!」
「はぁ? ねおりんってなんだよ。そんな呼ばれ方したことねぇぞ」
「え~、じゃあ、ボクが初めてなんだね☆ 嬉しいよ、ねおりん☆」
「てめぇ、ふざけんなよ……」
初代新生の悪態をものともせずに、笑顔と優しい光を振りまくミクロラプトルのミキ。
「おいおい、そんな小さい妖精さんに凄んでどうすんだよ。萎縮しちゃうだろ、ね・お・り・ん」
……殺気が籠った視線がウチに向けられました。
「そういう言葉使いしちゃダメなんだよ、ねおりん。ボクが教えるから直そうね☆」
「すっげぇ、全然動じてねぇゼ……」
「これは驚きですわね」
ティラノやラミアも驚く胆力。さすが、あのバカでかいバルログに向かっていっただけの事はある。
まだ特性やスキルはわからないけど、トゲだらけの初代新生にとって良いパートナーになってくれそうだ。
それにしても……
「ここにきてボクっ子かよ」
「八白さん、今ものっすごく『欲しかった』って思ってるでしょ」
「う……うん。ええなぁ、ボクっ子」
完璧に見通されました。反論できません。
〔許しませんわ!〕
「女神さん?」
〔こんな暴挙、私は許すわけにはいきません!〕
暴挙って……いったいなにがあったのだろうか?
「ど、どうしたんすか? 女神さん……」
〔キャラが私と丸かぶりではないですか!〕
「……そこかよ。大丈夫、かぶってないって。エセ妖精とマジ妖精の差があるから安心しな!」
〔エセって、どちらの事を言っているのですか、八白亜紀!〕
ウチの頭にペチペチとカカト落としを連打するエセ妖精の女神さん。そのやりとりを見ていたミキが、目をキラキラさせて飛んできた。
「あ~、めちゃ綺麗な妖精さんだー! 亜紀りんの女神ちゃんなんだね、ヨロシクデ~ス☆。いいな~、素敵だな~、美人ってあこがれるな~!」
女神さんの周りを飛びながら、キラキラと笑顔を撒き散らすマジ妖精のミキ。
〔え……ま、まあ、ミキさんといいましたか。貴方も可愛らしいというか、ええ、私の次くらいに……よろしくおねがい……シマスワ〕
顏を真っ赤にしてどもる女神さん。……意外とチョロいぞ。
「いい
「そうだね~。初代にはもったいないから私がもらっておこうか?」
ミキを応援する意味があってのことだろうけど、アンジー、あんた半分以上本気で言っているだろ。
「やらねぇよ。アホだろお前」
「年上のお姉さんに向かってその口はないんじゃないかな?」
「なんか言ったか? おばさん」
「あぁ? 口のきき方を教えてやろうか、クソガキ」
……また始まった。こいつ等ホント飽きずによくやるよな。もうみんなして『またいつものコミュニケーションか~』って放置しちゃってるし。
「はいはい、そろそろやめときな。ケンシロウとラオウだって、闘いながらも相手のことを敬っていたんだぜ!」
「……」
「……」
……あれ? 無反応?
「誰それ?」
「知らねえよ」
「……君ら、ホントは仲ええやろ」