目次
ブックマーク
応援する
3
コメント
シェア
通報

第104話・どんな時でも①

※今回と次回は飯テロ回です。

――――――――――――――――――――――――――――


「どんな時でも食えるヤツが生き残る!」


「……急にどうしたの? 八白さん」

「おい、そこに落ちてるボルト、お前のか?」


 呆れ顏でウチを見てくるアンジーと初代はつしろ新生ねお。つか、ボルトなんざ落ちてないっての。


「いや、せっかく食材が無限にとりだせるカバンがあるんだからさ。ラーメンばかりじゃなくて、たまには料理でもと思ってね」

「ガサツな八白さんに作れるの?」

「オレたちを殺す気じゃねぇだろうな?」


 ……君らひどいわ。


「ふんっ、引きこもりボッチの調理スキルなめんなよ! ガッツリごちそうしたるわ。ウチの料理の美味さに全ジュラが泣くで!」


 いち時期ゲームにも漫画にも飽きて、料理にハマっていた事があった。そしたら性に合っていたのか、メキメキと調理スキルが上がってしまって。


 ……って、むなしいことを思いだしてしまったじゃないか。


「と、言う訳で、まずはこれ!」


 と、カバンの中をまさぐって取りだしたのはゴツゴツとした緑茶色の野菜。


「かぼちゃ?」

「そして、ニンジンと里芋」

「なんだよ、年寄り臭いものばかりだしやがって」

「おま……それ偏見やぞ」


 でもまあ、自分がJKのころには同じ反応をしていたと思う。初代新生の目の前に追加でシイタケをだしたら、眉間にシワが寄って目が死んでいた。


「この野菜見たら、なにを作ろうとしているか察しがついたんだけどさ……」

「お、さすがアンジー」

「でも、 今からどんどん暑くなる季節だよ?」


 ウチが元山梨県民という事と、カボチャをはじめとする野菜からなにを作るかってのはすぐに分かったのだろう。


 ……結構有名な郷土料理だからな。


 きっと、アンジーの頭の中には、熱々の【甲州カボチャほうとう】が浮かんでいるはずだ。だから『暑くなる季節』と言ったのだろう。しかし、そんな単純な料理ではない。


 ウチは二人にチッチッチッと人差し指ジェスチャーをして、衝撃のひと言を発した。


、【おざら】って物があるんやで?」


「……え、なにそれ知らない」

「また適当な事言ってんじゃねぇの?」


 反応を見るに、アンジーも初代新生も全く知らないみたいだ。これは面白い反応が見られそうだな。


「じゃ、次は新生ねおたんの好きな油揚げ。それもぶ厚いやつ!」

「おい……」


 あれ、なんか不機嫌?


「なんでオレの好きなもの知ってんだよ。ストーカーか?」


 ……マジか。冗談のつもりだったのだが。


「あとはネギと味噌。そして……ん?、女神さん、麺がでてこないけど……まさか……」

〔麺は調理品とみなされたようです。食材は小麦粉と塩ですね〕


 やはりそうきたか。普通なら『めんどいな』と思う所だけど、力が有り余っている恐竜人ライズたちが大勢いる今は大した障害ではない! 


「アンジー、ティラちゃん、ルカちゃん、それからタルボちゃんも。小麦粉練って麺作りよろしく!」

「御馳走するって言っていたのに、自分で作れって?」

「働かざる者食うべからずやで!」


 ティラノとルカで麺に思いっきり腰を入れて、最後はタルボの重力魔法でプレスすれば上等な麺ができるのは間違いがない。


 予想外だったのは、料理に関してアンジーが全然役に立たなかった事。

 あろう事か、塩の量を測らないで1キロの袋を全部ぶち込もうとしやがりました。


 ウチのことをガサツとか言っておきながらこの謎女ってばもう……。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?