「あら、メデューサお姉様と
久しぶりの姉妹再会は、ラミアの“標準語”で始まった。
「ほんざんすか……まさか、生きていたなんて」
「うむ、ラミアにまぢがいない。」
「だから、ウチは最初からず~~~っとそう言ってんじゃん」
♢
メデューサがしっぽの家に来た。それも朝早くに、だ。
罠を警戒してなのか、木陰からじ~~~っと観ているだけだったけど、あまりにもバレバレすぎて微笑ましいと言うかなんと言うか、むしろ不審者だった。
でも、襲うつもりがないのはわかっていた。それなら寝込みを襲うはずだし、なによりラミアの姿を確認している以上は、手をだして来ないって確信があった。
だからウチは“いつでてくるかな?”って思いながら【おざら】を作っていたんだけど……。
そしたら太陽が真上に昇っちゃったから仕方なく『お昼、ご一緒にいかがですの?』とタルボに声をかけてもらったんだ。
「でも、話し方が変ざますわ」
「怪じいな。なにが悪いもん食っだのか?」
普通に会話するだけで偽物認定されるとか、ラミアって、魔王軍ではどんだけギャルキャラだったのよ。
「せっかく再会したとこ悪いんだけどさ、ちょっと話聞かせてもらっていいかな?」
アンジーの声を聞いた瞬間、メデューサの顔に緊張が走る。
「な、なんざんす……」
「あら、お姉様、なぜそんなに緊張しているのです?」
「ラミア、なにを……。その方が誰かわかっているざますか?」
「誰って、ジュラぴはジュラぴだよ?」
「だよね~」
ハイタッチするラミアとアンジー。“ぱんっ”と響く音で、メデューサの緊張がより一層増していた。
アンジーが魔王軍を“根こそぎ
もしかしたらラミアも魔王軍に入ったのは最近で、アンジーに対する先入観がないのかもしれない。
「ジュ、ジュラぴだなんて失礼な言い方を……」
「ああ、
「命令って、“あくとすぐぼあ”さんは、その……」
「ああ、ドラゲロ・アンジーはウチの
アンジーがジト目で見てくる。
言いたいことはわかるけど、“悪名”をウチに預けたのは他でもない
「あと、あくとすぐぼあは忘れて。ウチが泣きそうだわ……」
「お姉様大丈夫ですよ。ジュラぴも亜紀ぴも弱酸性だから」
恐怖の絶対王者、ドラゲロ・アンジーを、そしてその“
……きっと、メデューサは心中穏やかじゃないだろうな。
「だからまあ、昼飯でも食べながら落ち着いて話そうよ」
「あ、これ、お二人の分の味噌ツユっス。熱いから注意っスよ」
メデューサたちに声をかけたのは、つい先日“圧倒的な力を披露した”ルカ。横顔を見た瞬間“ビクッ”となるウェアウルフ。
「バルログ、加減するニャ。焦がしたら脳天チョップの刑ニャ!」
「ヒョ、やめテくだサい~」
そして鬼強いはずのバルログが、小さな猫幼女を敬い笑いながら会話をしている。
さすがにこの状況は理解できないだろうな。ウチも慣れるまで時間がかかったし。
「それで……聞きたい事と言うのはなんでござりんす?」
「君らもバルログもさ、ラミアが死んだと思い込んでいたみたいだけど……」
鋭い目つきで射貫くようにメデューサを視るアンジー。腕を組んだまま微動だにせず、圧をかける。
「それ、報告したの誰?」
「あ、それウチも気になってた。どう考えても話が噛み合わないんだよね」
「ほ、報告は先遣隊から入ったとだけ。内容はグレムリンから伝達されたざますわ」
「つまりそのグレムリンってのが
「報告した誰かが嘘をついているのか。だね」
アンジーにも“誰が嘘をついているか”まではわからないみたいだ。
でも、犯人は絞られてきた。ウチとしては“その悪役”を捕まえて『
「あ、あとウチからも二人に質問なんだけどさ」
「なん……でしょう」
うわ、ウチまでめっちゃ怖がられている。アンジー、そろそろ睨むの止めたって。圧かけんといて。
「グレムリンって、アレなに?」
「なにど言われでも……アレば、アレでじがない」
「アレでも幹部ざますので……」
「いや、アレがさ。アンジーは“つぶれた肉まん”って言っていたけど、ウチが遭遇したのは毛玉だったんだ」
ティラノたちを追いかけている時にすれ違ったあの毛玉が、まさか幹部の
「あの時、キティちゃんが出合い頭に“レックス・ヴォルテックス”ぶち込んだんだけど、当たらずにすり抜けたんだよね」
「挨拶代わりにレックス・スキルぶち込んだんスか。キティさすがっス!」
「ふっ……(キリッ)」
「ルカちゃん、そこは感心するところじゃないから。キティちゃんもアンジーの真似してアゴチョキしないの!」
……むしろ焦ったよウチは。確かに怪しい毛玉が走ってくるとは思ったけどさ。
「八白さん、多分それ
「つまり本体は別にいるってこと?」
「うん。問題は、本体がどこにいるか、だね」
これを聞いた時、最初は『本体の居場所ってそんなに重要なのかな?』と思いもしたけど、アンジーの考えは理にかなったものだった。
本体が白亜紀に来て
それによって相手の力を量ったり、思惑を考察することも可能になる。
……ま、その辺りの考察はアンジーに丸投げだけど。
「私も毛玉になる前の顏は見たことないな~」
「
やっぱりウェアウルフと同じく魔王軍に入って日が浅いのか。と、思っていたらメデューサから衝撃のひと言。
「だってラミアは、最近入ったばかりの
……なんですと⁉