ついに、待ちに待った週末の朝を迎えた。
今日、午前中からギルマスとミルコ女史の案内で、ミラと共に王都の森の「聖地」に向かう。
ハルコンはパチリと目を覚ますと、洗い場で水魔石の蛇口から出る冷水で顔を洗い、頭をスッキリさせる。
「ヨシッ!!」
気合を込めると、軽装服に着替えて朝の大食堂に向かった。
配膳コーナーで朝食を受け取ると、そのままトレイを持って席に向かう。
すると、朝の早い寮生を中心にそこそこ混んでいて、ハルコンはサリナ姉とミラを見つけると、そちらの方に移動した。
「おはようございます、サリナ姉様、ミラ」
「「おはよう、ハルコン」」
ニコリと笑いながら席に着くと、姉とミラもニコリと笑った。
「丁度いいところにきたわね、ハルコン。今ね、私達キミのこと話していたのよ!」
「何です、姉様? とても楽しそうなお顔をして、……」
「「ニヒヒ」」
姉とミラが揃って笑う。
「うん?」
ハルコンは首を傾げながら、なおもニコリと笑い返した。
「ハルコン、サリナさんから聞いたよ。キミって、女神様と仲がいいんだって?」
ミラが朗らかな笑顔で訊ねてきた。
「えっ!?」
「ごーめん、ごーめん。ついうっかり、口を滑らしちゃった。テヘッ!」
そう言って、舌を出しながら頭を掻いて詫びるサリナ姉。
「姉様、これは私達だけの秘密だって、約束したじゃないですかっ!!」
ハルコンは、前に身を乗り出して、姉の耳に小声で告げた。
「うぅ~ん? もう時効だよぉ。それに、あの頃みたいに、もう子供じゃないしさ、……」
遠い目をして、そう語る姉だが。まだ彼女は11歳、ハルコンとミラも7歳なのだが。
「ねぇ、ハルコン聞いて!」
ミラが、いつもより真面目な表情でハルコンをじっと見てきた。
「うん。何かな?」
ハルコンは、そう言って息を飲む。
「今日、私達のいく王都の森の『聖地』って、たぶん女神様が関わっていらっしゃる。ハルコンにとって、『聖地』はとても大切な場所になると思う。だから、私はなるべくハルコンの力に成れるよう頑張るからっ!」
ミラは両手をグッと握って、そう力説する。
そうだった。いつだって、ミラは私の味方なんだと、ハルコンは胸にグッときた。
「ありがとう、ミラ。私も、今度こそ上手くいくんじゃないかって思ってるんだ!」
そう言って、勇気を貰ってハルコンは笑った。