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ハルコンは、これまでファイルド国に多くの知識や技術を齎してきた。
王都でも評判で、人々は様々な場面でハルコンの噂をしているようだ。
ハルコンがまだ赤ん坊の頃は、ドワーフの親方らに手柄を譲っていた。
でも、今はもう少年になった。すると、名声や肩書が付いて回るようになっていった。
王都での学園生活は順調だ。
もちろん、ビジネスの方も言うまでもない。
基礎アイデアをハルコン、雛形作成をドワーフの親方が行い、大店の商人が人を手配して増産させ、全国にあまねく販売していくという鉄板体制が出来上がっている。
ハルコンは、とても用心深い。
自身の人格の秘密、様々なチート能力を決して人には明かさない。
前世の聖徳晴子の知識、技能もまた、小出しにしか表に出さないつもりだ。
ハルコンは、人々がより良い暮らしができるよう力を尽くしてきた。
NPCから得た情報によると、隣国コリンドは、ファイルド国の戦後復興策が順調なことで、次第に脅威に感じつつあるらしい。
スクリュープレスに始まり、ワインを蒸留させてブランデーを作ること。
算盤に複式簿記。様々な菓子に料理。スモークサーモン、スモークチーズ。獣人ネットワークにクレーン運搬技術、上水道の急速な工事の完了等々。
隣国コリンドの人々は、何とかしてこちらと接触しようとしているらしい。
だが、その試みは、女盗賊の率いる傭兵団によって、全て阻止してしまった。
一番害のありそうなロスシルド領を、一級剣士が居ながらにして睨みを利かせる。
東方3領周辺地域及び隣国コリンドに至るまでのエリアを、中年の商人の構築したネットワークで、隈なく監視する。
そういった様々な監視網を同時進行させることで、ハルコンの生存率が大幅に上がってきている。
ハルコンは王都で仲間を増やし、より深い人脈ネットワークを構築していく。
今後、王宮とつながりを持つことは、ハルコンにとってはごく自然の流れだった。