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24 ハルコンの名声_10

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 ハルコンは、これまでファイルド国に多くの知識や技術を齎してきた。

 王都でも評判で、人々は様々な場面でハルコンの噂をしているようだ。


 ハルコンがまだ赤ん坊の頃は、ドワーフの親方らに手柄を譲っていた。

 でも、今はもう少年になった。すると、名声や肩書が付いて回るようになっていった。


 王都での学園生活は順調だ。

 もちろん、ビジネスの方も言うまでもない。


 基礎アイデアをハルコン、雛形作成をドワーフの親方が行い、大店の商人が人を手配して増産させ、全国にあまねく販売していくという鉄板体制が出来上がっている。


 ハルコンは、とても用心深い。

 自身の人格の秘密、様々なチート能力を決して人には明かさない。


 前世の聖徳晴子の知識、技能もまた、小出しにしか表に出さないつもりだ。


 ハルコンは、人々がより良い暮らしができるよう力を尽くしてきた。


 NPCから得た情報によると、隣国コリンドは、ファイルド国の戦後復興策が順調なことで、次第に脅威に感じつつあるらしい。


 スクリュープレスに始まり、ワインを蒸留させてブランデーを作ること。


 算盤に複式簿記。様々な菓子に料理。スモークサーモン、スモークチーズ。獣人ネットワークにクレーン運搬技術、上水道の急速な工事の完了等々。


 隣国コリンドの人々は、何とかしてこちらと接触しようとしているらしい。


 だが、その試みは、女盗賊の率いる傭兵団によって、全て阻止してしまった。


 一番害のありそうなロスシルド領を、一級剣士が居ながらにして睨みを利かせる。


 東方3領周辺地域及び隣国コリンドに至るまでのエリアを、中年の商人の構築したネットワークで、隈なく監視する。


 そういった様々な監視網を同時進行させることで、ハルコンの生存率が大幅に上がってきている。


 ハルコンは王都で仲間を増やし、より深い人脈ネットワークを構築していく。

 今後、王宮とつながりを持つことは、ハルコンにとってはごく自然の流れだった。

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