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25 帝都に赴く女エルフ_07

   *          *


「皆さぁ~ん、どなたか氷がこぼれてしまった方は、いらっしゃいますかぁ~っ?」


『さすが、ハルコン殿! 素晴らしいぞっ!』


『問題ねぇだすな!』


『ちゃんと、入ってるぞ、坊!』


『誠に凄いですなっ! 問題なく、コップに入っておりますぞ!』


『えぇ、全く、……』


『真夏に氷、……とてもありがたい!』


 ふふっ、……どうやら、力加減が上手くいったようだね。ハルコンは思わずニコリと笑った。


「とりあえず、こういった具合で物質の転送が可能です。今後、皆さんに協力を仰ぐことになると思いますが、……構いませんか?」


 すると、しばらくの間6人のNPC達は各々黙っていたのだが、……。


『いいのでは、……ないだろうか?』


『ハルコン殿に従うのみだす』


『確かに。それでいいじゃろうて』


『ですな。私もぜひ協力させて頂きたいところです』


『もちろんですとも』


『同じく』


「良かったぁ~っ! 皆さん、ありがとうございます!」


 6人のNPC達は、皆協力してくれるそうだ。ホンと心強い仲間達だなぁと、ハルコンは心にグッときた。


『ところで、ハルコン様。ひとつお訊ねしても、よろしいでしょうか?』


 妙齢の女占い師さんからの質問だ。この人は、王宮のご意見番をする程の手練れだから、とても大事な話が予想される。


 とりあえず、心を引き締めてかからなければと思い、ハルコンは少しだけ身構えた。


「はい。何でもお訊ね下さい!」


『では、……。ハルコン様は今、王立学校の貴族寮にいらっしゃるのですよね?』


「えぇ。まぁそうです」


『なら、私も王都におりまして。例えばですが、ハルコン様の新たなスキル「マジックハンド」は、……人間の移動も可能でしょうか?』


「えっ!? まだ、私は人間の転送を試してはいないのですが、……」


 それは、さすがに躊躇するよ。だって、人体実験じゃん、マジで!


『でしたら、私でお試し下さいまし!』


 女占い師さんは、ノリノリで訴えてくる。

 いや、さすがにマズいだろ!


『ハルコン様、私も現在王都に滞在中です。今後のためにも、ぜひ、その実験に参加させて頂けないでしょうか?』


 すると、大店の商人まで、いつになく強い調子で訴えてきた。


 ムムムムムッ。さて、……どうしようか?

 ハルコンは、2人の提案に乗るべきか否か、……思わず考え込んでしまった。

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