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『我らは運命共同体。ハルコン殿を核とした「縁」により、深く結び付いておる。ハルコン殿のためとあらば、我は地獄の底までお供する覚悟ぞ!』
『アタイもだす。いくらでも、この身を捧げるだすよ!』
中年の一級剣士と、若き女盗賊までノリノリで訴えてきた。
ドワーフの親方は黙っている。現在仕事が立て込んでいるから、不確かなことには参加せず、様子見に徹するつもりらしい。
女エルフは、現在隣国にいて任務遂行中のため、事態をジッと見守っている。
「皆さんのお気持ちがワカりました。これから、実験を始めたいと思います!」
『『『『『『オォ~ッ!』』』』』』
ここで、6人のいる各地から拍手が起こった。
「では、先ず私が女占い師さんの許に参ります。それが上手くいきましたら、今度は女占い師さんを大店の商人さんの許に送ります」
『『『『『『なるほど!』』』』』』
「そして最後に、大店の商人さんの許にいる女占い師さんは、私の許に戻って貰います。以上でよろしいでしょうか?」
『『『『『『異議なしっ!』』』』』』
満場一致で可決した。まぁハルコンとしては、女神様が人間の負担になるような危ないスキルを私に渡すワケがないと、半ば確信していたのだが、……。
とにかく、これを試してみたかったのよ!
さすがに、皆さんにこちらから提案するワケにもいかず、どうしようかなぁと思っていたから、女占い師さんの話は、ホンと渡りに船だったんだ。
ふふふっ。皆さんがとても協力的で、ホンと感謝だよっ!
とはいっても、極度の緊張で思わず舌なめずりをするハルコン。
「それでは、先ず私が女占い師さんの許に訪れます。女占い師さん、……近くの椅子かソファーに、両手で触れて頂けますか?」
『はいっ! いつでもどうぞっ!』
「ではっ!!」
ハルコンは両手で自身の胸に触れると、次の瞬間、風景が暗転する間もなく、……女占い師の居室の長ソファーの上に着座していた。
「で、できました! 成功ですっ!!」
「素晴らしいですっ、ハルコン様っ!!」
感極まった様子で、女占い師が抱き付いてきた。
これまで彼女とは、念話でしかやり取りをしたことがなかった。
それが、直接肌と肌が触れ、体温が感じられた。
やはり、NPCも同じ人間なんだ。体温もあり、汗もかくし、匂いもある。
生活感のある女占い師の居室の風景に、強い親近感を抱くハルコンだった。