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「……、それでは皆さんって、こうして今でも定期的に会っているというワケですか?」
ハルコンがそう訊ねたところ、6人のNPCの皆さんは、笑顔でうんうんと頷いた。
パッと見では、もう既に半分くらい出来上がっている者もいて、……。
顔を赤らめながら、「エヘヘ」と笑ってこちらを見てくるのもご愛敬だ。
その後で、ハルコンは改めて右から順に全員を見た。
中年の一級剣士、中年の大店の商人、一級鍛冶師のドワーフの親方、妙齢の女占い師、弓使いの女エルフ、そして、この席に連れてきてくれた妙齢の女盗賊、……。
今更ながら、この人達って、……もの凄く個性的なメンバーだったのかも。
「さぁさぁ、ハルコン殿! 駆け付けで一杯飲むがよかろう!」
少し酔った様子の一級剣士が、陶器のジョッキを片手にエールを勧めてきた。
「たはは。私はまだ元服しておりませんので、ウーラン茶ならお付き合いしますよ!」
「あらっ、ハルコン坊ちゃんは、相変わらずお堅いのですね!」
「「きゃはははははっっ!!」」
そんな具合に、妙齢女子達から笑われてしまった。
「ハルコン殿、……実は、この集まりの発起人が私でしてな」
そう言って、中年の大店の商人が、右手を前に掲げつつ半身を乗り出してきた。
なるほど、……。これだけの錚々たるメンバーだもんね。
いくら元々の主催者である私が、「定例会合を終了しましょう!」といってもさ。
まぁ、皆さんからしてみたら、「はい、そうですか」と、簡単に他のメンバー達とお互いに知り合いになった「縁」を切ってしまうというのは、とても勿体ない話だったのかもしれないね。
「まぁ、それもそうですよね、……」
「はい。せっかくですからね。まぁ、実際の話、定期的にメンバー達で集まって、こうして飲み会を開いているだけではあるのですが、……」
「なるほど、……」
ハルコンとしては、これまで個人的な理由で6人の能力を利用してきてしまったんだと反省していたところだった。
だから、……彼らに対して、どこか後ろめたい気持ちがあったと思う。
この6人のメンバー達が、ハルコンを抜きにして自分達だけで自主的に集まっていることについて、こちらからは何も言える立場にはないとさえ思っていた。
でも、……今回のサスパニア出張旅行を前にすると、この人達の力を再び借りたいと思い始めている自分がいる。
そんなことに、ハルコンは改めて気付いてしまったのだ。