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第十二章:氷室に隠された秘密

翔は藩主から聞いた「氷室にまつわる古い伝承」を胸に、さらなる調査を始めた。藩主が語るには、氷室には特定の天文イベントの夜に「時の裂け目」が現れることがあるという。ただし、それを確認した者は数少なく、戻る術を知る者はさらに希少だという。


翔は早速、氷室を詳細に調査し始めた。石の壁に古い模様や文字が彫られていることに気づく。その中には星図に似たものもあり、特定の星座と月の配置が鍵を握っているようだ。さらに、天文イベントの日時を確認するため、江戸の天文台にも足を運び、記録を丹念に調べた。


氷室の秘密と未来への鍵

氷室内で、翔は小さな仕掛け扉を発見する。扉の奥には「時を越える者への道しるべ」と書かれた巻物があり、そこには次のような条件が記されていた。


特定の星座が見える夜に、氷室の中で氷を灯りにして祈ること。

自分の時代への強い想いを持つことが鍵となる。

これを読んだ翔は、未来に戻る方法が現実味を帯びてきたことに驚く。同時に、戻るためには仲間やライバル、江戸時代での生活に別れを告げる覚悟をしなければならないと悟る。


別れの準備と迷い

翔は、この時代で築いた関係をどうやって断ち切るか悩む。特に、八兵衛や三次、さらには藩主との絆は強くなっており、彼らに自分が未来から来たことを伝えるべきか葛藤する。


そんな中、藩主は江戸の繁栄に尽力してくれた翔を労い、正式な感謝状を送ることを決める。その式典が、奇しくも天文イベントの夜と重なることを知った翔は、この機会をどう活かすべきか思案する。

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