目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第十二章:別れの決意と最後の準備

運命の星夜を前にした日々

天文イベントの夜が迫る中、翔は未来に戻る決意を固めながらも、江戸で築いた絆への未練を拭えずにいた。藩主から授かった巻物を基に氷室を再調査した翔は、「祈りの氷」を作るための条件があることに気づく。それは、最も澄んだ氷を灯りに用いることで、時を越える道が開かれるというものだった。


翔は役人に許可を得て氷室の特別な氷を譲り受け、試験的に準備を進める。しかしその矢先、町で三次が翔の元を訪れ、「これからも一緒に市場を盛り上げよう」と手を差し伸べた。翔は、自分がここに留まらないことを打ち明けるべきか迷う。


仲間への告白

八兵衛や三次、そして町の人々に囲まれる中、翔は自分が未来の人間であること、そしてこの時代を去らなければならない理由を語る決意をする。人々は最初は驚き、次第に応援の言葉を口にするようになった。八兵衛は涙ながらに、「また会える時代が来たら、きっと寿司を一緒に握ろう」と約束する。


藩主からの最後の言葉

藩主は翔を城へ呼び出し、「お前がこの地に尽くしてくれた功績は、未来でも語り継がれるだろう」と感謝を述べる。そして、古い伝承に従い、「願いの時」を迎えるための準備を整える手助けを申し出た。


その夜、翔は藩主や八兵衛、三次、町の人々に見送られながら氷室へと向かった。そして、天文イベントの星が空を彩る中、未来への道が開かれる瞬間を待つ――。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?